内容説明
文学の知識─皆無、哲学の知識─皆無。毒物に通暁し、古今の犯罪を知悉し、ヴァイオリンを巧みに奏する特異な人物シャーロック・ホームズが初めて世に出た、探偵小説の記念碑的作品。ワトスンとホームズの出会いから、空家で発見された外傷のないアメリカ人の死体、そして第二の死体の発見……と、息つく間もなく事件が展開し、ホームズの超人的な推理力が発揮される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
638
ホームズものの記念すべき第1作。ホームズその人の過去については詳らかではないが、ワトソンの来歴が語られる。シャーロッキアンにとっては、かけがえのない1書だろう。私にとってはまだ2作目なのだが、本書は私がイメージしているホームズものとは大きく異なっていた。なにしろ物語の第2部では広大なアメリカの西部を舞台にするのであるから。本書が、まずアメリカの編集者の眼にとまったのもそれ故であっただろうか。いずれにしても、時間的にも空間的にもきわめてスケール感の大きい物語だ。細部の瑕瑾は気にならないくらい大いに楽しめた。2015/09/27
ソルティ
356
ホームズシリーズ第1作目だが子供の時に読んでなく全く初読。ホームズは短編の方がいいと聞いたが長編もおもしろい!第1章と第2章が別の話かと思うくらい事件の背景が奥深い。モルモン教⋯恐ろしい!罪とか罰とかって神が望んでるのか?そんな宗教いらんだろ。って世の中にはそんなのいっぱいだけど。ホームズ自分の推理力鼻にかけすぎだけど(笑)それがホームズだからね。「「君は地球が太陽の周囲を回っているというが、たとえ地球が月の周囲を回転しているとしても、そんなことで僕の生活や僕の仕事に、なんの変化もおこらないんだからね」」2020/08/24
Kircheis
353
★★★★☆ 子供の頃に読んだシャーロック・ホームズのデビュー作を再読。 もちろんホームズの魅力は今作からばっちり発揮されているのだが、ホームズとワトソンの2人が活躍する現代パートより、犯人がなぜ犯行に至ったかを描く過去パートの方が個人的に読み応えがあった(^_^;) 書かれてから140年ほど経っても十分面白い傑作ではあるが、足跡や現場の痕跡から起こったことを探るのは今では当たり前なんで、ホームズの鬼才ぶりは少し伝わりにくくなってきているかもしれない。2019/04/15
Die-Go
349
シャーロック・ホームズ祭り第1弾。十何年ぶりかの再読。シャーロック・ホームズシリーズの記念すべき第一作。ホームズとワトスン博士の出会いから始まり、不審な連続殺人事件へと話は進む。発表以来100年以上が経つ作品にも関わらず、その持つ面白さは現代でも通用する。★★★★☆2016/04/02
Tetchy
348
記念すべき名探偵シャーロック・ホームズの初登場作品だが、私は今回初めて読んだ。で、感想はと云えば、これが思った以上に凝った構成になっていることに驚いた。黄金期もしくはそれ以前の推理小説は事件の起きた時間軸上を登場人物が右往左往し、やがて真相に辿り着くという趣向がほとんどなのだが、本作は犯人発覚後、いきなり昔の西部開拓時代へ移行し、動機に至るエピソードが語られる。これが短編小説並に素晴らしいのだ。このような革新的な構成をもって現れたホームズ。今に息づく真価が見えたか!2009/05/13