内容説明
俺はもうまもなく死ぬだろう…ガン宣告を受けてから覚悟の10年、残された日時に刻みつけるように小説を書いた作家・稲見一良。男らしいやさしさを追い求め、花見川の自然を呼吸し、ときに少年の憧憬さえ甦る。本作品集は、腹水がたまり、半身になりながら、虫の息で、原稿用紙に鉛筆をなでるように書いた遺作の数々である。死を目前にして、透徹したまなざしで、人生を見つめた珠玉の物語。人は、こうやって生き、こうやって死ぬ……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぼる
18
命を削りながら書かれた作品たち。 これから何度も読みたい。2022/06/17
タツ フカガワ
15
ハードボイルドや少年の冒険譚、ファンタジー、それに無国籍のような作品もありと、死を前にした作者が記したまさに遺作集。バラエティーに富んだ趣向ですがどこを切っても稲見節です。が、作者と重なる作品が多くて、読んでいて辛いものもありました。2019/12/20
こゆび
13
作家として生きることを選んだのは、残りの人生が長くはないと知ったから。大袈裟ではなく、一編一編本当に命がけで描かれた遺作集。虚実ないまぜの短い物語に作者の声が詰まっている。命が宿っている。最期のときが近いことを物語から感じてしまい、悲しくて仕方がなかった。稲見一良が伝えようとしたものは、そんなものではないと頭ではわかっているのに。2019/11/09
はまちゃん
8
稲見さんの描く男達は、本当にかっこいい!男の美学と死にざまを描かせたら、ピカイチだと思う。女性たちもでしゃばらないけど、いい女だ!この人の作品をもっともっと読んでいたかった。2010/09/01
べる
7
本当は私が読んだのは単行本。スバラシイ作品集。2008/06/22