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内容説明
朝廷権力の「肩代わり」から「主体」の政権へ。室町幕府を読み直す画期的論考。100メートルを超える大塔、眩く輝く金張りの仏閣、華やかな祭礼──首都京都の強大な経済力を背景に空前の「大規模造営」を招来した武家政権は、今や朝廷を凌ぐ威光を確立した。弱体政権論を覆し、武家政権が「権力」と「権威」を2つながら掌握してゆく過程を義満時代を中心に描く。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
239
この時代ってまだ検非違使など平安時代以前の制度が残りつつ、新しい寺社勢力とか幕府とかはたまた荘園領主とかが混在してめちゃくちゃなことになりつつあってそりゃ混乱するだろうなと思う。税金として徴収する先が分からんよなぁ。そんな中、幕府が第一勢力としてのし上がって来たと言う感じ。結局室町幕府もその後ダメになってどうするん?って混乱して地域ごとに実力者がバラバラに統治する戦国時代になった感じ。2021/06/27
こきよ
59
朝廷祭祀は言うに及ばず検非違使出仕も儘ならぬ程に逼迫していた幕府財政にあって、後醍醐帝の鎮魂が幕府の政策として在り続けたという事実は興味深い。崇徳上皇の式年祭祀が明治、昭和期に至っても行われている事からしても鎮魂政策の重要性が見て取れる。幕府財政史論考に留まらず、研究史論考にも踏み込み考察してある点は、この時代の知見を広めるにあたり重要であろう。2016/11/13
Toska
18
幕府権力の本質を探るまっとうな政治史本だが、切り口として財政(財源)と建設事業に注目している点がユニーク。人々の度肝を抜く巨大建築が次々に誕生した義満の時代も、資金繰りには意外な苦労があった。政治的な権力を金力に転化させた義満、日明貿易というドル箱を自ら封印しながら新たな財源を手に入れることのできた義持、いずれも辣腕と評するにふさわしい。また、義満が重んじた規律と時間厳守が実は中国の禅宗にルーツを持っており、外来の文化だというのが面白かった。2025/06/19
中年サラリーマン
16
中世の京都に100メートルを超える大塔がそびえていたという事実から始まる尊氏から義持までの室町4代に着目して語る室町幕府論。そこそこに専門的であるために咀嚼しきるには追加の知識が必要だなぁと感じる。しかし、室町時代あたりっていまいちつかみ所のない時代だよな。もやっとしてる。室町~戦国~江戸あたりで日本人の考え方ってものが大きく変遷しているような気がします。2014/02/23
Minoruno
6
義持期までの室町幕府の性質を財政面から捉え直している。豪華絢爛な室町文化のイメージで語られる義満期ですら財政難で苦しむ場面があったことに驚く。全体的に常に財政難だったのだなぁという印象。相次ぐ戦乱、飢饉などの社会変動が幕府の体制を都市型依存にしていく過程がよくわかった。2017/07/01




