内容説明
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面妖怪異な風貌、1メートル90センチを超える巨体。豪快な勝ちっぷりの反面、あっさりと敗北を喫し、玄人に好まれた横綱男女ノ川。反面、男女ノ川は「奇行」の人であった。横綱になって早稲田大学に入学。引退し、角界初の一代年寄になってもあっさり廃業。その後、衆議院議員に立候補して惨敗。私立探偵、保険外交員などになり、アメリカ映画に出演すらした。最後は老人ホームに入り、野鳥料理店の下足番として生涯を閉じた、まさに波乱万丈の「奇人」ぶりを活写する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
12
一言で言えば、春風駘蕩。角界引退後、口車に乗せられて、衆議院選に出馬したり私立探偵等に手を出すが、すべて失敗。しかし、救いは、どんな境遇であっても屈託がないこと。そんな奇人ぶり、いや人の好さ故に、最後まで彼を救おうとする人がいた。幸福に人生を終えたものと信じる。2019/03/31
駄目男
6
双葉山に稽古をつけたのが男女ノ川と聞いて興味が湧いた。横綱に昇進したのは昭和11年5月場所。満32歳、身長195㎝、体重160キロ。ところで数ある横綱の中から男女ノ川の伝記本が書かれたかといえば実に風変わりな人生を送ったことにある。土俵上より外伝で名を成した人物で、とにかく第一号が多い。自転車乗り、ダットサン、早稲田大学専門部法経科専科入学、一代年寄第一号。更には保険外交員、土建業、金融業、私立探偵と転職し衆院選に出馬して落選。そして養老院入所。最後は料理店の下足番。どこか悲哀に満ちた人生だった。 2018/02/03
つちのこ
5
天下の横綱が下足番とは。この落差を驚かずにはいられない。男女ノ川の名を轟かせたのは、力士時代からの奇行であったという。引退後にあらゆる職を転々とし、最後は誰にも看取られずアパートでの孤独死。まるで絵に描いたような転落の人生、天国と地獄を体験した人であった。 だが、男女ノ川の人生は本当に不幸だったのだろうか。この作品を読むとどんな苦境も気にしない、もって生まれた楽天的でおおらかな性格が晩年の不遇を暗いものにさせていないことに気づく。天下の横綱は波乱の生涯を閉じてなお、巨星の輝きを失わない。(2003.1記)2003/01/13
tecchan
2
戦前の異色横綱 男女ノ川 の伝記。横綱になるまで、そして引退後の数奇な人生を描く。最後は料理屋の下足番となり67歳で死去。経歴だけ見れば横綱を張った人が落ちぶれたと思うが、果たしてそうだったのか、本人しか知るすべはない。本書は、明治、大正、昭和と続く相撲の歴史を勉強するにも好著。2018/12/27
渋谷英男
1
再読。誰かが助けてくれる人柄なんだろう。☆42019/12/07