寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」

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寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」

  • 著者名:鵜飼秀徳【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 日経BP(2015/05発売)
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  • ISBN:9784822279172

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内容説明

「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、日本のお寺は、かつてないほどの危機に瀕している。菩提寺がなくなり、お墓もなくなってしまった――。こんな事態が現実になろうとしている。

中でも地方のお寺の事態は深刻だ。高齢化や過疎は檀家の減少につながり、寺の経営を直撃する問題となっている。寺では食べていけないことから、地方の寺では、住職の跡継ぎがいない。しかし、寺は地域住民の大切なお墓を管理しなければならないため、簡単に廃寺にしたり、寺を移転したりすることはできないのが現実だ。

一方、都会で働くビジネスパーソンにとって、お寺やお墓は遠い存在であり、お寺との付き合いは「面倒」で「お金がかかる」ばかり。できれば「自分の代からはもう、お寺とは付き合い合いたくない」と、葬儀は無宗教で行い、お墓もいらない、散骨で十分という人も増えている。

経営の危機に瀕するお寺と、お寺やお墓はもういらないと言う現代人。この問題の根底には、人々のお寺に対する不信感が横たわっている。僧侶は、宗教者としての役割を本当に果たしてきたのか。檀家や現代人が求める「宗教」のあり方に応えることができているのか。

地方崩壊の根底に横たわる寺の消滅問題について、日経ビジネスの記者が全国の寺や檀家を取材し、徹底的にルポ。芥川賞作家の玄侑宗久氏らのインタビューを交えてこの問題に迫る。

お寺やお墓、そして地域の縁を守ろうと必死で努力する僧侶たちの姿と、今だからこそ、仏教に「救い」を求めて集まる現代人の姿が見えてくる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

53
【将来的に、全国の7万7000カ寺のうち3割から4割が消滅する】人口減に伴って衰退する寺院経営の現状を全国の寺や檀家から取材し、地方の困窮寺院の声を伝える書。佐藤優の解説も収録。参考文献も。「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、厳しい状況。中でも地方のお寺の事態は深刻。高齢化や過疎で檀家は減少し住職の跡継ぎもいないが、地域の墓を管理するため廃寺にもできない。一方、都会では、お寺やお墓は遠い存在。「お寺とは付き合い合いたくない」と、葬儀は無宗教で行い、墓もいらない、散骨で十分という人も――。⇒2023/05/23

HANA

51
地方の寺、主に過疎地の寺院のルポタージュ。地縁というものが消え失せようとしている現在、檀家と菩提寺という形の地縁に根差した寺院が無くなっていくのは世の趨勢かもしれない。とはいえ東京一極化による地方の疲弊は現代日本の宿痾みたいなもので、寺院の力だけでは何ともし難いものがあるのも事実。一つ葬儀が出る毎に檀家が一軒無くなるという過疎地の住職の言葉には愕然とするものがある。新しい方法を模索しようにも、今までの檀家を捨て置くわけにもいかず。答えの出ない問題だな。巻末の各宗派のデーターも更に危機感に拍車をかけている。2015/06/07

おかむら

43
お布施の額になんかモヤモヤしたので、そういえば私は寺や檀家やそもそも仏教ついて何も知らないなーと思って読んでみた。いわゆる坊主丸儲け的な内容ではなく、地方の人口減で寺の経営も成り立たなくなるみたいな内容。思ってたんと違うけどとても興味深いルポ。面白い! 東京と地方では寺との付き合い方がそもそも違うんだな。村の過疎化で無住寺激増とか、震災後の寺の状況とか、尼寺が無くなるとか、廃仏棄釈と農地解放とか、知らないことばかりでした。お布施の額もなるほど東京は飛び抜けて高いわけねー、と納得(してないけど了解)。2016/03/17

Miyoshi Hirotaka

40
仏教は長期的凋落と弱い回復を繰り返している。一向一揆のように自治と武力で武家に対抗していた頃が、ある意味最盛期。徳川時代には寺社奉行により統制され、寺請制度で守らたが、幕府の終焉に伴う神仏分離令により保護がなくなった。戦前、海外布教や戦争協力により小康を得たが、農地解放、政教分離、新宗教の勃興により壊滅的な打撃を受けた。今は、それに少子高齢化が加わった。地方の縮減により、25年後には今の1/3の寺院が消失する見通し。諸行無常、無常迅速。宗教といえども変化の例外ではない。融通無碍に変化することが生き残る道。2016/08/30

きいち

35
丁寧に取材された、一から、いや、ことによるとマイナスの状態から頑張る各地のお寺さんの話がとてもいい。人の死と悩みに向き合うための様々な手法。ゆうパックあり、感動のお葬式あり。ええんちゃうん、こういう人々がどこかで支えてくれてるのなら、あとは成行きに任せても。そんな気になってきた。◇だって正直、寺の経営が成り立たずご住職がおられずとも、信じる人さえいれば祈りの場は成り立つ、在家が代表役員すればいい。もちろん本職がおられたらそれはとても幸せなこと、だから在家のわれらは、真摯な支え手をこそ支えていきたいと思う。2016/06/25

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