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内容説明
周辺諸国との軋轢が高まるなかで「歴史問題」を耳にしない日はない。しかしこれまで学校で教わってきた「歴史観」はほんとうに正しいのか。その猜疑とともに、日本の近代史をもう一度学び直そうという機運は高まるばかり。その格好のテキストが本書だ。冒頭で著者はいう。「国家の歴史を肯定的に受けとめなければ、私どもが献身すべき対象をみいだすことはできません」。そうした視点で明治維新から敗戦に至る歴史を俯瞰し直したとき、そこにはアジアの発展に尽くし、世界に雄飛した人々がいた。著者が総長を務める拓殖大学は、まさにそうした「戦前のグローバリズム」を担い、生命を賭してアジアに貢献する人材を生み出す大学だったのだ。桂太郎、後藤新平、新渡戸稲造。拓殖大学の草創期を担った稀代の人物たちはいかに「興亜」を志し、行動したのか。同時にその営みを知ることは、そもそも私たちはなんのために「国際化」しなければならないのか、というグローバル化の本質を学ぶことにもなる。「否定の言葉でまみれた過去」を問い直し、日本人としての誇りと自信、そして未来を拓く力を与えてくれる一書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ceskepivo
5
日本の対アジア関係史を分かりやすく解説。特に対台湾政策は読みごたえがある。後半は、拓殖大学関係の記述が増えるので、関心がない場合には飛ばして読んでも、本書の価値は変わらない。2014/04/15
depo
3
積読本。後藤新平や新渡戸稲造が関係しているとは知っていたが、あの大川周明や安岡正篤が教授をしていたとは知らなかった。世界に羽ばたく拓殖大学。2021/02/19
めっかち
2
「拓殖大学」とあるが、日本の近代史がわかる本でもある。とてもバランスも良い。
Atsushi Nagata
2
母校の総長である渡辺利夫先生がご担当されていた講義の書籍化。近代日本史について非常に理解しやすく説明されている。また、サブタイトルの通り拓殖大学の沿革も兼ねている。母校について太平洋戦争中に軍部に加担していた大学であると少なからず捉えていたが全くの誤解であった。今後は「地の塩になれ」というポリシーを体現できるように精進したいと思う。2015/09/26
yoshi
1
ただただ感動。さすが渡辺先生。歴史を現在とつながったものとし理解することができました。拓殖大学の歴史も素晴らしいです。以前,同大学の「アジア塾」を受講しましたが,アジアに深く根ざした同大学こその内容でした。2014/02/03