内容説明
茶の湯は、日本文化の様々な要素を取り込みながら、そこに新しいものを付け加えて成立、発展してきた文化です。そしてさらに、茶の湯以外の場へも大きな影響を与え、「総合文化体系」とまで評されるようになった文化でもあります。本書は、日本文化の氷山の一角である茶の湯が日本文化の様々な分野とどのように関わりをもってきたのかを考える、「茶の湯の側に立ってみる日本文化史」を考察する一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
66
茶人、茶の湯とは、「誤解を恐れずに言えば素人芸」との一文は、茶道史研究の第一人者たる神津氏が言うと、納得させられる。その醸成期に於いて、豪商や武人といった、所謂専業ではないもの達の手により洗練されて行き、やがて詫びの境地へと達した茶の湯は、だからこそ、能、狂言や雅楽等とはまた違う、より身近なものとして、今日に至ったのであろうか。2014/09/14
umeko
14
茶の湯には、これほど多くの文化が盛り込まれていたんだと再認識した。「はじめに」にもあったが、まさに氷山の一角で、水面下にある文化の広がりと深さには興味が尽きない。2014/09/14
Mayu
8
この方の本2冊目ですが、日頃不思議に思っていたことが明らかになり、本当に面白いなーと思いました。菓子についてと、茶の湯の思想、の部分が特に身になりました。亭主は点前修業だけしていれば良いわけでも、優れた美術品を収集して展示するコレクター兼学芸員のような存在でもいけない。客というのは、「観客」ではない。財界数寄者の道具売買の逸話を語りすぎることに対する批判もごもっともだと…。茶禅一味も、古賀健蔵さんのテキストを読んでから気になるポイントだったので、もうちょっと考えてみたいです。茶の本を再読してみようかな…。2019/12/25
hirayama46
5
はじめての神津朝夫。タイトル通りの茶の湯と日本文化について、お菓子などの飲食物、茶道具、茶室などの空間、及び古い文献から読み解いた茶の思想などについて手広く紹介されています。茶の湯に関する知識がほぼなかったわたしでもさらさら読める簡潔な文章で、かなり数多い文献から取っているためバックボーンの確かさも感じさせます。しかし、00ページ強で広範囲のトピックに触れているので、全体的に概要といった趣が強かったので、次はもっと詳述した本も読んでみたいな、と思いました。2020/07/04
おぜ
5
禅と茶道の関係とか、お菓子と薄茶濃茶のこととか、お茶をやるなら知っておくべきことが、わかりやすく書いてあるのでおすすめ。2014/06/16