内容説明
大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
190
天下平定により住処を失った浪人たちは現代の非正規雇用者のようで、国姓爺の期す明帝国再興に力を貸す倭寇の活躍を読めば、防衛の名のもとに進められる集団的自衛権の問題をおもいだす。浪人の不満が募れば、必ずや謀叛がおきる。それを未然に防ぐには、締めつけよりもガス抜きが効果的だったりする。軍学者由井正雪は、そのために利用され、また自らも率先してその位置に甘んじたのではないか。与党があってこその野党だ。司馬さんは信長や(若いころの)秀吉を好む反面、家康をきらい良く描かなかったが、⇒2019/02/23
あーさん☆本に埋もれてます(╯︵╰,)
83
単行本は1969年にポケット文春に収録されているようだが、全集未収録の幻想歴史小説を30年ぶりに文庫で復活させた出版社。当時は著者も納得しないままの…文面的には令和に調度良いかも?(; ̄Д ̄)?歴史小説家の高橋克彦氏は司馬さん教なので絶賛。「見て、学ぶことの大事さを司馬さんは教えている」のだが、しかし、分厚いので高校生くらい?なら読めそうσ( ̄∇ ̄;)2021/03/19
優希
78
面白かったです。全集未収録の作品ということで、今まで読んできた司馬作品とは異なる異色な雰囲気を感じました。大坂落城から30年後、江戸時代を舞台に妖しい怪僧と公儀に虐げられる浪人たちが幕府転覆と明再興のため暗躍する様子が夢とも現ともとれるのが不思議な味わいを醸し出していますう。歴史小説ではありますが、同時に幻想小説でもある作品と言えるでしょう。最後に自らの意志を見せるまで、夢の中で漂っているような感覚に陥っていました。2018/04/09
ehirano1
72
著者の幻想系の作品は今回が初読。う~ん、他幻想系の作品をもう少し読んでみないとまだ何とも言えないかな・・・。但し、正雪の偶発の事故についての独特の理論は膝を叩きました!災い転じて福となすことができる人が名将。天の時、地の利、人の和が合一した時に事を始めるから無理がない。無理は不運をよぶ。全くそう思います。では、どうすればそのようにできるか?PDCAサイクルを稼働させてやってみるしかない!?2016/04/20
NAO
67
全集に収録されていない伝奇小説ともいえる幻想歴史小説。三代将軍家光の時代、幕府転覆を画策する由比正雪と、風前の灯の明朝にあって忠国の念から立ち上がった海賊鄭成功の史実を合体させたこの物語は、由比正雪、鄭成功といった実在の人物に、両性具有の美女をはじめとした妖しげな人物たちを織り交ぜ、舞台も江戸・五島列島・廈門と広がりをみせる。全体的な雰囲気は『梟の城』に近い印象を受けたが、幻想的なシーンが多く『梟の城』よりさらに砕けた感じではある。2024/12/12
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