内容説明
大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あーさん★まおりゅうにハマってるよ!(≧▽≦)
78
単行本は1969年にポケット文春に収録されているようだが、全集未収録の幻想歴史小説を30年ぶりに文庫で復活させた出版社。当時は著者も納得しないままの…文面的には令和に調度良いかも?(; ̄Д ̄)?歴史小説家の高橋克彦氏は司馬さん教なので絶賛。「見て、学ぶことの大事さを司馬さんは教えている」のだが、しかし、分厚いので高校生くらい?なら読めそうσ( ̄∇ ̄;)2021/03/19
優希
76
面白かったです。全集未収録の作品ということで、今まで読んできた司馬作品とは異なる異色な雰囲気を感じました。大坂落城から30年後、江戸時代を舞台に妖しい怪僧と公儀に虐げられる浪人たちが幕府転覆と明再興のため暗躍する様子が夢とも現ともとれるのが不思議な味わいを醸し出していますう。歴史小説ではありますが、同時に幻想小説でもある作品と言えるでしょう。最後に自らの意志を見せるまで、夢の中で漂っているような感覚に陥っていました。2018/04/09
ehirano1
64
著者の幻想系の作品は今回が初読。う~ん、他幻想系の作品をもう少し読んでみないとまだ何とも言えないかな・・・。但し、正雪の偶発の事故についての独特の理論は膝を叩きました!災い転じて福となすことができる人が名将。天の時、地の利、人の和が合一した時に事を始めるから無理がない。無理は不運をよぶ。全くそう思います。では、どうすればそのようにできるか?PDCAサイクルを稼働させてやってみるしかない!?2016/04/20
びす男
60
浮浪者のこわいところは、不満を抱えていることでも、不衛生なことでもなく、「暇をしていること」らしい。人は時を持てあますと、何をしでかすか分からない■この本でも、幕府から切り捨てられた浪人たちが、政府転覆を夢想する。首領格が大盗禅師だが、周囲にはクセのある男女がそろっている■革命といっても、色んな輩の思惑が渦巻いている。その精神に酔う者、実利的な面から求める者、手法に凝る職人肌の者――。主人公は翻弄され、ついに居場所を見いださなかった。確かに司馬さんらしくない結末だが、仙八の目を通じて世の混沌を鑑賞できた。2019/03/10
i-miya
59
2014.02.02(01/31)(つづき)司馬遼太郎著。 01/31 (p516) (解説=磯貝勝太郎、つづき) (鄭成功) その父、鄭共龍。 日本は徳川の時代。 鎖国強化。(カバー) 大坂城落城30年、住吉の浦、兵法磨く浦安仙八の前、一人の僧侶。 (解説=つづき、磯貝勝太郎) 倭寇、姿を消す。 鄭は本拠を安平鎮に据えた。 そこで中国最大の私設艦隊と商船隊組織、密貿易。 そこで上る冨、衰亡にある明の帝室からは、海軍遊撃都督に任命。 晴れて政府派の軍閥となる。 2014/02/02