- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
深山幽谷で、里川の畔で、あるいは暮らしの傍らで、しずかに佇む日本の樹木。用材として、薪炭として、日本人の暮らしを支えてきました。戦後、生活の在りようが変わり、その存在が希薄になりつつあります。本書では、あらためて木の美しさと不思議さを再発見してもらうために、生物学から生態学までをふまえ、ヒノキ、ブナ、ケヤキなど代表的な26種について進化の秘密を紹介します。自然環境のなかで成長した本来の樹形を写したカラー写真をとおして、緑樹の影のしたたかな生き残り戦略について楽しく学びます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
84
面白かったです。 写真もきれい。 カエデはいつの間にかカエデ科からムクロジ科に変わったんですね、驚き。 歴史も注意してないと結構変わるけど、植物の分類まで! スギはスギ科からヒノキ科になったんだって、何のこっちゃ2020/11/30
tamami
55
身近にある代表的な樹木26種類について、その特徴や由来が、柔らかな語り口と、美しいカラー写真で示される。植物研究者としての著者の調査・研究は、それぞれの樹木が有する分布の歴史的考察や人との関わりにも及び、興味深く読ませてもらった。その中では、出雲大社と杉の建材としての有用性のことや、ブナで有名な白神山地は、江戸時代の野放図な伐採の結果ブナだけが残ったこと、「卯の花のにおう垣根に…」のにおうは、古語の「光輝く」の意味では等々、これまでの思い込みも正される。著者の樹木に対する熱い心を感じながらの読書となった。2022/02/06
翔亀
46
鳥見をしていると木が気になってくる。苫小牧の北大研究林の再生物語を知り(「森林と人間」)ぜひ行こうと思うが、木のことは全然知らない。木材としての木は馴染みがあるが植物としての木は、綺麗でもなしとっつきにくい。そんな中、本書は日本の樹木を、その「生き方」で分類して、身近なものとしてくれる。「樹木の生き方」とは、樹木の生き残り戦略のこと。何百年長く生きようとするのか、数年だけ生きて子孫を早く残そうとするのか。その違いで、常緑針葉樹や落葉広葉樹や中低木かが分かれる。木も生きているんだなあと目を開かされる。2015/04/21
niisun
18
大学で造園学を学び、緑やランドスケープに関わる仕事をしている身にもかかわらず、意外と植物の種類や性質が覚えられないものです。 なので、これまでたくさんの図鑑を手にとっては調べものをして来ましたが、こんなにも、スーっと頭に入った樹木の本は初めてです♪ 一種類ずつ頭にいれるのとは違って、大まかな特性を知ることで理解が格段に深まりました。 私のこれまでの覚え方は、まさに字の如く「木を見て森を見ず」でしたね! 今一緒に、緑地の保全計画の仕事をしている会社の若手にもこの本を奨めてみようかなぁ~と思いました。2015/07/23
Akihiro Nishio
9
日本の樹木を、その生存戦略から大きく分類して解説を行った本。細かな名前や性質を覚えることは難しいが、樹木の基本的な見方がわかったのが良かった。基本的な見方がわかれば、名前がわからなくても、その木のおよその樹齢や木材にしたときの性質なども予想できる。良書であった。2014/12/14