内容説明
その証言、嘘か本当か。
裁判の世界はこんなに面白い!
裁判員制度が導入され、冤罪報道が新聞やテレビを賑わせている。また法廷を舞台にしたドラマやゲームの大ヒットもあり、ここにきて裁判への関心が急速に高まっている。
しかし一方で、検事と弁護士は法廷でどのようなやりとりを交わしているのか、裁判官はどのように双方の証言をきき、その真偽を判断しているのか、私たちは意外とよくわかっていない。
世界文学の最高峰『カラマーゾフの兄弟』のクライマックスは、裁判シーンである。カラマーゾフ家の父であるフョードルが殺害され、容疑者として長男ミーチャが逮捕される。ミーチャは容疑を否認するが、状況証拠からは彼が殺したとしか思えない。さまざまな証言が行き交うなかで、裁判は進んでいく――。
本書のテーマは、『カラマーゾフの兄弟』の裁判シーンを通じ、裁判における「事実認定」の基本的な部分を知っていただくことにある。事実認定というと難解で専門的に聞こえるが、平たくいうと「嘘と本当の見分け方」である。
裁判というのは、とどのつまり、「当事者の話が嘘か本当か」という点に議論が集約されることが多い。そして法律家は、人の話の真偽を見極めるノウハウを学んでいる。本書を読んでいただければ、その基本的な部分を理解できるはずだ。「嘘と本当の見分け方」を身につけることは、人間関係のトラブルや男女の悲劇を防ぐためにも役立つことだろう。
読者のみなさまには、ぜひ、被告人ミーチャが有罪か無罪かを判断する陪審員になったつもりで読み進めていただきたい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桂けい
7
法廷ミステリーとして読むと、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を知らなくても、楽しめる一冊でした。 三男のアレクセイ、原作では主人公?なのですが、この本では異様に影が薄いです(笑)2016/04/16
紫
4
『カラマーゾフの兄弟』は途中まで読んで挫折していたのですが、この本は一気に読むことができました。先の気になり具合がミステリーのようでした。きっと現実世界で生きてる人ってミーチャみたいに支離滅裂だったり矛盾してたりするのが本当なんだろうな…それを裁くのはすごく難しいことだと思います。ミーチャの裁判の結末はこの本には書かれていないので、挫折した原作に頑張って挑んでみようかなと思いました。2014/11/04
なかなこ
4
読むのに結構時間がかかったカラマーゾフの兄弟だけど、これはさらりと読了!読みやすかったです。法律の側面から見るとまた違った面白さがあるんですねー。原作を読んでいない人は、誰が殺したのか推理できてまた違った面白さがありそう。2014/08/19
エイドリアン
4
実はまだ「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがありません。今、私の中で密かに、ドストエフスキーがブームで、「罪と罰」読みたい!などと思って、まだ手を出していません。「カラマーゾフの兄弟」も話の内容はなんとなく知っていたんですが、この裁判のドラマチックな所はかなり、手に汗を握りながら読みました。で、結局、ミーチャはどんな判決が言い渡されたのか?それは、小説を読まないといけないってことですね。2014/08/16
北条ひかり
3
3時間12分。音声デイジー。熊本県点字図書館と音訳者さんに感謝。「カラマーゾフの兄弟」の法廷場面を用いてリーガルマインド(和製英語。笑)を身につけようという本。着想は面白いのだが、リーガルマインドの養成を目指すのであれば、結末は不要なのでは?(「カラマーゾフの妹」の前に読むべきだった。失敗!)2017/01/09