講談社現代新書<br> 教育の力

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講談社現代新書
教育の力

  • 著者名:苫野一徳【著】
  • 価格 ¥957(本体¥870)
  • 講談社(2014/11発売)
  • 5/5はこどもの日!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
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  • ISBN:9784062882545

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内容説明

「ゆとり」か「詰め込み」かなど、教育を巡る議論には様々な対立と齟齬が渦巻いています。こうした混乱を越え、どうすれば<よい>教育を作ることができるのか。<よい>教育のためにはどのような学校がいいのか? そのための教師の資質とは? 本書は、義務教育を中心に、どのような教育が本当に<よい>と言えるのか、それはどのようにすれば実現できるのかを原理的に解明し、その上で、その実現への筋道を具体的に示してゆきます。(講談社現代新書)

目次

はじめに
序 章 そもそも教育は何のため?
一万年の戦争の歴史/〈自由〉への欲望/〈自由の相互承認〉の原理/〈自由〉とは何か/〈自由〉と〈自由の相互承認〉を実質化する/相互承認の“感度”/他
第I部  「よい」学びをつくる
第一章 「学力」とは何か
「学力」概念の混乱/知識基盤社会/専門家に求められるもの/学力=「学ぶ力」/「ゆとり教育」について/危惧されるさらなる格差拡大の問題/他
第二章 学びの個別化
「学び方」の多様性/オンライン学習の衝撃/ドルトン・プラン/木下竹次の実践/サドベリー・バレー・スクールの教育/現行制度の可能性/他
第三章 学びの協同化(協同的な学び)
「学び合い」を通した学力保障/学びの共同体/教師の協同/『学び合い』/海外の協同学習/「個別化」と「協同化」の融合
第四章 学びのプロジェクト化(プロジェクト型の学び)
デューイ・スクール/プロジェクト・メソッド/最終局面にさしかかった学びの転換/イエナプラン教育/ワールドオリエンテーション/「学力」は保障されるのか?
第五章 学力評価と入学試験
評価の問題をどうするか?/実りある学びのための評価/受験の問題をどうするか?/高等教育の問題
第II部  「よい」学校をつくる
第六章 学校空間の再構築
「学級」の誕生/「学級」における教師の役割/過重な同質性要請/群生秩序とその背景/逃げ場のない教室空間/人間関係の流動性を/流動性の仕掛け/他
第七章 教師の資質
教師の専門性/省察的実践家/省察的実践家としての教師/信頼と承認/ケアと忍耐/権威と畏敬/教師への信頼
第III部  「よい」社会をつくる
第八章 教育からつくる社会
教育にできること/ポスト新自由主義/「平等と競争」再論/開かれた関係性と道徳教育/共通了解をつくる/超ディベートの方法
終 章 具体的ヴィジョンとプラン
短期的ヴィジョン・プラン(~二〇二〇年ごろ)/中・長期的ヴィジョン・プラン(二〇三〇~四〇年ごろ)
あとがき
参考文献・引用文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

WATA

59
共感する箇所が多すぎて、感想がまとめにくい。常に正しい教育法はない、という考え方が素晴らしい。「平等」と「競争・多様化」との対立の解消方法も良い。教育の目的を「すべての子供に自由に生きるための力を育むこと」「社会における自由の相互承認の土台となること」とするのも全くの同感。いじめ問題の原因が「人々の価値観の多様化」と「学級の人間関係の流動性の無さ」との矛盾にあるというのもその通りだと思う。この本に書かれているような学習環境が早く実現してほしい。教育に関わる人、子供に関わる人全員にぜひ読んでもらいたい1冊。2014/05/07

りょうみや

23
著者の本は何冊目か読んだ。重なる部分は多いが分かりやすくおもしろいので読んでしまう。本書で提言している学びの個別化、共同化、プロジェクト化というのは、オランダ、フィンランドの公教育や、日本でも「きのくに子どもの村」が進めており、デューイの100年前の思想を今風に言い換えたもの。改めてデューイの先進性がわかる。著者といえば<自由の相互承認>が代名詞なのだが、この言葉をひたすら連発されると抽象的過ぎて本当にこれでよいのかと違和感も出てくる。現場レベルでは「多様性、個性の認め合い」くらいの方がしっくりくる。2018/12/28

きいち

21
とにかく未来には希望が持てる、無条件に、そんな風に感じられる本。論の運び方そのものが自らの主張の表現となっているのは円熟の老師のよう、でも表現やテンポは若々しくて。◇例えば「ゆとり」が是か非か、そう問いを立てられると、私たちは大した根拠なくどちらかが正しいと思ってしまう、でもそれは罠。抽象度を上げたり根拠に降りたり、そんな努力によって、共に満足できる第三項を見出してゆく。今教育が実現をめざすものこそ、そのために磨く、相互承認の感度。◇メモ:大正中期の新教育の先駆性。承認という、誰もが無償で活用できる資産。2014/07/30

bonbon99

20
教育を変えれば全てが良くなるというのは幻想で、国民は特に学校教育に過度の期待し過ぎでいる。教育特に学校を中心とする制度は強固で、なかなか変化できない。明日から全てが変わる改革を期待するというより、一歩一歩著者のような方の活動で変わっていく気がする。ジョン・デューイに代表するいわゆる新教育の理念や方法について、紹介してくれている。それが理念だけで実行されていないというのは同感。総合的な学習の理念は素晴らしいが、中央集権的手法になり、画一化している。個々の地域で工夫することが教育を変える行動ではないかと思う。2021/03/23

マッキー

17
「自由の相互承認」が大きなキーワードになっている。よりよい教育を行うにはどうすればいいか、実に論理的、具体的に書かれている。おまけに読みやすかった。今後日本の教育を考えるうえでとても役に立つこと、踏まえておきたいことなどが提示されているので教育に関心のある人にはぜひ読んでほしい一冊。日本が教育の多様性を獲得するのは、いつになるのだろうか。まだまだ先のような気がしてならない。(メモ:ISBN:978-4-06-288254-5 ★4)2016/04/24

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