内容説明
上善は水の若し、杞憂、足るを知る、無用の用……老子や荘子に代表される道家思想は二千年以上もの間、人々に豊かな人生を示し、不透明な時代の指針となってきた。とはいえ現代人には理解が難しいところがあるのも事実である。もっと現代人にとって「使い勝手」のよいものにできないか。そう考え、心理学という補助線を引いてみたところ、驚くほど新鮮に道家思想が蘇った! 悩める現代人に捧げる道家入門。
目次
第1章 理解と誤解の裏に何があるか
第2章 どうすれば価値を見極められるか
第3章 何が自然で何が不自然か
第4章 注意という心的資源をどう使うべきか
第5章 なぜ忘れる能力は必要か
第6章 どうすれば欲望から解放されるか
第7章 何を判断の基準とすべきか
第8章 夢と現とはどんな関係にあるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
27
「「物は分裂しては生成し、生成しては壊滅する。すべての物は、生成していようが、壊滅していようが、もともと一つである」(荘子)とあらゆる物は本質的に同一であることを主張する。この同一論に基づき、道家は大小や美醜など主観的差別を超越して、万物を根源的に同一視する」。ずっと疑問に思ってきたことが解決した。「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれない」という宮本輝の『錦繍』の中の言葉である。生と死は対極的な関係と思えるが、実は同一の関係。それを悟ったとき人生の意味合いは変わってくる。2018/04/14
大島ちかり
10
私のような素人には、分かりやすくて、納得のいく本。いろいろな例を交えて老荘思想や心理学を紐解いてくれるので、うなづくことが多かった。老荘思想ってとっても身近なのになかなか自分の中に浸透しないです。2013/10/20
calaf
7
全体的には、広範囲な知識を元に書かれている印象を持つのですが、、、現在物理学の結論では、宇宙は無から生じた???良いことがあると、その後は悪いことが起こる確率が高くなる???こんな事が書かれていると、他の記述も疑わなくてはならなくなってくるのですが... (^_^;;;2013/04/19
isao_key
6
道家の思想を『老子』『列子』『荘子』『淮南子』から名言寓言を34ピックアップして、現代にも生かせる教えとして解説してくれる。「9.物は使いよう」で日本初の自動改札機誕生をめぐるエピソードが述べられているが、著者は中国古典の格言を例えて述べるのが上手である。幅広い知識から道家の考えをやさしく説明しているので、道家入門としてはとてもいい。「文化圏や時代を超えて愛されつづける書物ほど、解釈の多面性を内包している傾向が強い」と記しているが同感。「足るを知る」が『老子』からの言葉だったとは、今にして初めて知った。2014/07/22
しゅんぺい(笑)
3
知的読み物として、なかなかおもしろいと思う。深すぎず、浅すぎず。 日本のことわざだとか、中国の故事だとか、なんでこんなにも的を得ているのだろう。 まあ、ある真実があれば、その逆もまた真なり、というのがいちばんの実感やけど。2013/03/14