失われざる十年の記憶 一九九〇年代の社会学

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失われざる十年の記憶 一九九〇年代の社会学

  • 著者名:鈴木智之/西田善行
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 青弓社(2014/07発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787233424

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内容説明

経済不況、雇用の流動化、新自由主義の台頭、敗戦後五十年、インターネットの普及、趣味の多様化-「失われた十年」として記憶される一九九〇年代の一面的な理解にあらがい、浜崎あゆみ、アイドル、『セーラームーン』『スワロウテイル』、SF・サイコ小説、神戸連続児童殺傷事件などを読み込みながら、この時代がはらんでいた可能性をすくい上げる。

目次

序 章 失われざる十年の記憶――「九〇年代」をつなぎとめるために 鈴木智之
 1 構造転換の時代としての九〇年代
 2 胎動する、複数の九〇年代
 3 九〇年代はいつ始まり、いつ終わるのか
 4 想起の文脈としての現在

第1章 郊外空間の反転した世界――『空中庭園』と住空間の経験 佐幸信介
 1 表象としての住宅
 2 郊外と「住まわせる論理」
 3 郊外または反転した世界
 4 性愛の空間としての郊外

第2章 夢の跡地に見た夢は――『スワロウテイル』の近未来都市 松下優一
 1 「円都に住む円盗たちの物語」
 2 「円都」の風景
 3 「円都」を想像する九〇年代

第3章 侵食する怪物――サイコ・ホラー的想像力と『CURE[キュア]』 加藤 宏
 1 サイコ・ホラーの二つの側面――専門知による秩序回復と怪物の侵食
 2 『CURE』
 3 物語の構造化のパターン分析
 4 見慣れた世界の危機と自己のなかの他者への変身

第4章 アレゴリカルな暴力の浮上――「酒鬼薔薇聖斗」と物語の条件 鈴木智之
 1 アレゴリーの浮上
 2 二つのテクスト――犯行声明と事件メモ
 3 生きているものの感触

第5章 偽史への意志――歴史修正主義と『五分後の世界』 山家 歩
 1 「自国の正史」と偽史への意志
 2 『五分後の世界』と修正主義的欲望の脱構築

第6章 銀水晶に解放された関係性――美少女戦士セーラームーンに欲望するファン 小林義寛
 1 セーラームーンのテクスト
 2 セーラームーンのファン・フィクション

第7章 彼女たちの憂鬱――女性アイドル“冬の時代”再考 塚田修一
 1 AKB48という現在
 2 “アイドル”殺害事件
 3 アイドル“不遇の時代”
 4 3Mの格闘
 5 モー娘。という偶然

第8章 「居場所」をめぐって――浜崎あゆみに節合する時代の言葉 西田善行
 1 「女子高生の教祖」「コギャルのカリスマ」――安室奈美恵との連続性と切断
 2 「アダルトチルドレン」「トラウマ」――「私のココロ」の問題から見る浜崎あゆみ
 3 「ヤンキー」「格差社会」――ゼロ年代的言説空間から見る浜崎あゆみ

あとがき 西田善行

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KA

2
加藤宏「侵食する怪物――サイコ・ホラー的想像力と『CURE』」。この論の運びならば、論じる際の比較項は『羊たちの沈黙』ではなく、本文表でさらっと触れられているだけの『ツイン・ピークス』だろう。しかしとても面白く、大変勉強になった。 山家歩「偽史への意志──歴史修正主義と『五分後の世界』」。2012年に書かれた論考であるが、第二次安倍政権化における歴史修正主義の再跋扈を見越していたような、今ここにある危機意識を持って書かれた強靭な1990年代論だ。こういう優れた村上龍論を俺もいつか書きたい。2021/01/15

hiratax

1
70年代〜80年代初頭生まれの若手研究者を中心とした論考。「スワロウテイル論」に惹かれる。ヒップホップやらヤンキーやらミクロでドープな部分より、社会全体、日本全体の空気を敷衍している論考が多く置いてけぼり感がなかった。2013/03/04

女神の巡礼者

1
 もっとカルチャー系の評論かと思って読みましたが、けっこう難解な社会学の論文集でした。  ところで、社会学って何を目的とする学問なのでしょう。各論文で興味深い発見もありましたが、だから今を生きる私たちがどうあるべきかとか、未来をどうするべきなのかというような視点を感じられず、なんだか中途半端な読後感でした。2012/12/27

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