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内容説明
夭逝、自死、その他さまざまな死のかたちは、作家の「人生」というもう一つの作品を完結させる重要なファクターとなる。漱石、荷風、谷崎、三島由紀夫ら明治・大正・昭和の文人四十九人に寄せられた追悼を通して、彼らの生身の姿を照射し、近代文学史の新しい一面を拓く。
目次
明治篇(正岡子規(35年9月19日)―死んで百余の句となる
尾崎紅葉(36年10月30日)―親分は哀しい
小泉八雲(37年9月26日)―死もまた「怪談」 ほか)
大正篇(上田敏(5年7月9日)―葬式に行かない理由
夏目漱石(5年12月9日)―漱石をけなした人々
岩野泡鳴(9年5月9日)―ちょうど死にごろ ほか)
昭和篇(芥川龍之介(2年7月24日)―「お父さん、よかったですね」
若山牧水(3年9月17日)―酒に溺れた患者を成仏させる
小山内薫(3年12月25日)―役者は死人にすがりつく ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
26
最高傑作は、川端康成の林芙美子への弔辞 2015/09/30
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
18
文豪たちが書く追悼文、書かれた追悼文。長生きした作家はいい追悼文に恵まれない。同世代の作家は死んでしまったか、ぼけかけているからっていうところに笑ってしまった。確かに75歳超えると、追悼文もおぼつかない人が多い。これが、あの文豪の書いた追悼文?というものも……。川端康成の追悼名人っぷり!(なのに、変な死に方してしまったばっかりに、本人が死んで書かれたのは微妙な追悼文が多い……。)やはり、死に方に対する賛否で本人の業績などがどっかへ行ってしまうというのはあるのか。有島武郎や三島由紀夫など。2016/04/01
メルジ
7
家族の蔵書から、我が家のトイレ文庫として登場。学生の副読本にしても面白そう、というかして欲しい。本読む思春期の学生が増えるのでは。これを読んだら、「有名だし今も人気だけど、人間性がイヤ」とか「興味なかったけど、こういう人間かっこいい。」とか絶対出る。私は後者で、昨日文学全集を借りてきました。寝る前に読むと、「こういうやついるよなー。うへえ」とか「好きなことが本業じゃ無くても続けるのか。ふむふむ」とか色々面白くなってしまうので、悩むところです。2015/06/16
papicocoffee
4
文士が死ぬと、文士が葬式にくる。なぜかみな「ただならぬ友人知人」であり、人がひとり死んだというのに、そこにはなんとも生々しい空気、匂いたつような生気が漂っている。さまざまな文士の生きざまと死にざま、それに接した人々のありようをアイロニカルに描きだす痛快の1冊。2015/05/06
tencoz
3
面白かった!漱石や芥川、鴎外に三島由紀夫…名だたる近代文学作家が死したとき、そこには誰がどんな追悼文を寄せたのか。追悼文は作品ではない、だからナマの声が出る。そこから追悼者と故人の関係、また故人の人柄を知ろうという試みは純粋に面白い!岡本かの子と林芙美子の嫌われっぷりは笑ったなあ。故人的には森鴎外に対する永井荷風の追悼、芥川の自殺に対する奥方の一言が胸に沁みた。宮沢賢治と草野心平の友情、川端康成の追悼の上手さも。著者は島崎藤村…というか自然主義嫌いなのかな? 漱石はさすがの偲ばれ方。また再読したい。2017/03/05