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内容説明
“彼は「侍(さむらい)」である”という表現が今日でもしばしば使われる。では、侍とはいかなる精神構造・姿勢を指すのか――この問いから本書は書き起こされる。主従とは、死とは、名と恥とは……。『葉隠』『甲陽軍鑑』『武道初心集』『山鹿語類』など、武士道にかかわるテキストを広く渉猟し、読み解き、日本人の死生観を明らかにした、日本思想史研究の名作。(講談社学術文庫)
目次
まえがき
一、ありのまま
1 室町武家貴族の生き方
2 戦国武将の生き方
3 興廃を道義にかける
4 女侍批判
5 事実に生きる
6 いいわけの否定
二、名と恥
1 鎌倉武士と名
2 名と主従関係
3 自敬と名
4 自他・内外の一体観
三、死の覚悟
1 死のいさぎよさ
2 覚悟の悲壮性
3 『葉隠』と仏教
4 士道論における死
四、閑かな強み
1 勝負の構
2 礼儀と強み
3 詞の働き
4 武士の一諾
5 理想としての非情
五、卓爾とした独立
1 手の外なる大将
2 大丈夫の気象
3 草莽崛起論
4 明治の「独立の精神」
解 説 菅野覚明
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
残心
1
武士道の根本のところは、「対峙的人倫観をふまえた独立の精神」なのだそうな。 『葉隠』『甲陽軍鑑』『武道初心集』などを踏まえて論評している。 武士道そのものに興味がありパラパラと読んでみたが、どうも私は学術的論理的な評論とは相性が悪いらしく、まったく面白く感じなかったので、パラパラのまま本を閉じてしまった。2015/09/05
マコ
1
「あるべき道理のままに生きる道義的な強さが赤裸々なありのままの生き方を可能にするのである。」(p42) 武士道とは死ぬこととなんたらという有名な言葉を抱きつつ、やはり武士道と死は隣り合わせにあるんだなぁと感じる。近世においては儒教的士道として、その違いが、特に「死」より「生」への変化が見られる。武士と時代の変遷、また信ずるものが異なれば思想も自然と変わるのだなと思う。2015/05/26
紫暗
1
武士道についてこれを読めばてっとり早くわかるのかといわれると微妙です。まぁ、講談社学術文庫なので予想できると思いますが、文章は比較的難解な方だと思います。「葉隠」や「甲陽軍鑑」といった参考文献の中身を取り上げてかいつまんで説明してくれているのはありがたいです。武士道を理解するための入門書といったところでしょうか。2010/11/12
タクマ
0
なかなか難しく 読むのに時間がかかる本だった。 結局武士道とは 「武士道といふは死ぬ事と見付けたり」 それを説明してた本。2016/12/25
あんどうれおん
0
ふわっとした感覚で使われがちな「サムライ」なる概念の実態を明らかにしようとする野心的な一冊。現代の感覚に照らして問題のある記述も散見されます。幅広く勧められるものではないと承知の上で、一人でも多くの人に個々の所感を構築して頂きたいとも思える本だと感じました。2020/02/15