内容説明
尾張が美濃に攻め寄せるという。軍勢が村へ入れば村人たちには生き死にの大問題だ。オトナ衆の次郎衛門は戦火から村を守るため、織田勢から自軍の乱妨と略奪を禁止する命令書をとりつけようとするが……。戦乱の中で奔走する村人たちの、たくましさとせつなさを描いた表題作を始め、全6本の粒ぞろい歴史短編集。※本書は、2004年12月に新人物往来社より刊行されたものを文庫化にあたり加筆修正したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
34
面白かったです。信長と道三の陰で躍動する武将たち。戦乱の世の逞しさを感じます。2024/03/09
リュウジ
8
★3 時は戦国初期、信秀と道三が争っていた頃。自分たちには大それた野心はないし、そこそこ幸せであればそれで満足。なのに戦国大名の欲望は放っておいてくれない。戦さをするからと力に任せての「米くれ、金出せ、人出せ」+「嫁に行け」の無理難題。右往左往しながら必死に考え奔走するも、周りの人たちは好き勝手に動くし、自分のささやかな願いも翻弄される。その喜怒哀楽は今の時代と同じかも。そう感じるのも6つの短編のうち、5つが古文書をヒントにしたリアリティが生む人臭さかもしれない。作品としては小粒ですが、楽しい読書でした。2022/12/10
NezMozz
5
おいおい、表紙でちょっとコミカルなそれでも逞しく生きる人々、みたいなの想像してたら全然違った!いや全然違ったは言い過ぎか、そういう要素もなくはないけど、なんだかもう身を切られるほどに切実で身勝手な人間たちの短編集だった。「待ちわびて」なんて、ちょっとした女の怪談、場合によってはホラーにすら成り得る。ほとんどが実在の古文書を元にして書かれたということがよりいっそう人のやるせなさを浮かび上がらせる。2011/02/16
rakim
4
戦の沙汰も金次第。美濃か尾張か、命と欲の攻防に右往左往する人々。愚かさと強かさが裏腹にあからさまにあるのも無理は無いと思う時代。生き抜くのは大変そうです。2012/01/09
カツイチ
2
☆☆☆ この人はいい。したたかで世知辛い。必ずお金の話が出てくるのがリアル。格好悪いし、ほのぼのしないし、それが最高。2010/05/23