内容説明
日本人の美的世界・倫理的世界を善意な眼差しで概観しながらも、「慇懃と粗暴」「礼儀正しさとモラル破壊」「思慮深さと見栄っ張り」「同情心と冷淡」「慎み深さと思い上がり」といった相反する要素が両立する謎について、言語・風土・社会的要因から解明する。一九七〇年代にベストセラーとなった稀有な日本人論を初文庫化。
目次
日記からの断章
道案内がいります
イザナギノミコトの鉾から落ちた雫
宗教にかわる美学
陶工と料理人
造形芸術としての料理
美の四つの尺度
美を教えること
花と茶
ものみなその分あり〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
N.T
2
ソ連版「菊と刀」かな?と思って読み始めたら良い意味で期待を裏切られた。 著者が生活した1960年代の日本が鮮やかに書きとめられており、その特質の源泉を見事に考察している。 どちらかというと「神々の国の首都」や「逝きし世の面影」に近い。 本書が書かれてから半世紀足らず、ここに書かれた日本も日本人もどこかへ消えてしまった。この国に残っているのはただ「一枝の桜」だけなのだろうか。2014/05/11
さとー
2
ソ連の新聞記者が日本に住んだ経験をもとに書いた日本人観察。『菊と刀』と合わせてよみたい。労働や衣食住など日本の風俗について真っ直ぐな観察と率直な感想が述べられてます。日本人は自己分析好きだよね。自分がするのもされるのも。分析ではなく観察の洗礼を受けてください。2012/09/02
イカ男
1
「永遠に続かないことのなかに美の源泉をあえて見たのは、おそらく日本人だけであろう。日本人がほかならぬ桜の花を国花に選んだのは偶然のことではない」P82より2011/04/17
KUMA0504
0
62年から68年までソ連時代の『プラウダ』東京特派員を勤めた著者による日本人論。小森陽一が解説を勤め、井上ひさしが褒めていたとあっては、読まないわけには行きません。2010/01/29