内容説明
住宅ローンの制度ができてから、初めて大都市圏を襲った地震から十年。建替? 補修? 自己破産? ダブルローン? 被災地の人々にはどんな選択があったのか。「解体」には全額補助、「補修」にはゼロ、その裏に働いていた思惑とは? ―そして十年後の住宅政策の大転換とは? いま、明らかになるこの国の驚くべき実態。
目次
20秒の反転
国はそのとき何をしたか
被害の実態
二つの自己破産
もう一つの選択
補修か、解体か
「マンション建て替え」をめぐって
地震とバブルと
保険ははたして有効か
品質の座標―弱い地盤と欠陥住宅
住宅政策を問い直す
ゲーム・オーバーにはさせない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
24
地震が起きて、家が倒壊し、住宅ローンだけが残る。決して他人事ではない。勉強不足を恥じた。2016/10/21
モリータ
9
◆著者(1951-)はノンフィクションライター。単行本は1998年筑摩書房刊、文庫版(本書)は2005年ちくま文庫刊。◆阪神大震災による住宅ローン被害のデータが見つからないことについて;「つまりそれは、「調べろ」という号令を誰も発しなかったということだ。もし住宅ローンを抱えたまま家を失った人たちの実態について「至急、調査せよ」と大号令が出ていたら、個々の機関はそれぞれ自分のフィールドで実態を調べただろう。それではなぜ号令が発せられなかったのかというと、「なにもする気がなかったから」ではないかと思う。(続2023/03/17
うえ
5
背筋の凍る本。阪神大震災後、0からではなくマイナスから復興しなければいけなかった人々。「家を再建するなら低利で貸してあげるというのが、政府のスタンス…結局、住宅ローンを抱えた人が救われる方法は自己破産しかないのかと、話は展開していく」「政府「たとえば破産の申し立てをして免責を受けるというようなことは考えられようかと思います」「要するに、家を再建してもしなくても借金はふくらむというのが、住宅ローンを抱えて家を失った被災者に対する「支援」の内容である」「離婚にいたった人は被災地では珍しくない(震災離婚)」2015/06/28
Rieko
3
東日本大震災後に新しい著書がでていますが、これは旧バージョンの方で阪神淡路大震災の時に住宅ローンを抱えた人達がどうなったかのルポです。「戦前の鉄筋コンクリート製の建物の方が、現在のものよりも強く、神戸の震災では戦前にできたコンクリートがやられた例がない」というのも面白い内容でした。2012/06/24
kaikoma
2
災害の物理的な恐ろしさは報道からも推測が出来ますが、この手の恐怖は、完全に想像の域を超えています。完済しても一切報われない住宅ローンを背負う事の心理的な怖さ、負担は想像を絶するものだと感じました。家を持つことの難しさを今更ながら実感します。2023/12/23