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内容説明
「海のアジア」、それは外に広がる、交易ネットワークで結ばれたアジアだ。その中心は中国、英国、日本と移ったが、海で結ばれた有機的なシステムとして機能してきた。世界秩序が変貌しつつある今、日本はこのシステムとどうかかわっていくべきか。二世紀にわたる立体的歴史景観のなかにアジアを捉え、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイを比較史的に考察する。第一回読売・吉野作造賞受賞。
目次
第1章 ラッフルズの夢
第2章 ブギス人の海
第3章 よちよち歩きのリヴァイアサン
第4章 複合社会の形成
第5章 文明化の論理
第6章 新しい帝国秩序
第7章 上からの国民国家建設
第8章 アジアをどう考えるか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
71
2000年刊なのでもう20年以上前の本だが、東南アジア史の専門家によるアジア、とりわけ東南アジア~日本の海域圏を、構造的に把握してその近現代史を解きほぐしていくマクロな記述に引き込まれた。この点では鶴見良行の民衆からみたある意味ミクロの積み上げと対照的な面があると感じた。18世紀位までの「マンダラ国家」というコアの影響力で伸縮する社会の結びつきから、19世紀以降の「リヴァイアサン」(著者は近代領域国家-植民地を含む-位の意で使用)の成長、そしてその中でいかに「国民」意識が作られたかの部分が特に面白かった。2022/04/19
Book & Travel
39
仕事で関わることも多く身近な東南アジアだが、歴史をあまり知らないことに気付き、本書を手に取ってみた。東南アジア近代史に日本との関係史を絡め、アジアの地域システムを描いた本書。大学の講義のようで読み易くはないが、点在したまんだら王国、それに取って替わった英国の海峡植民地を核とする自由貿易帝国、そこでの華僑の役割など興味深い内容が多かった。2000年刊行とやや古く、中国が東アジアの覇権において米国に対抗することは考えにくいと述べられる。その後の台頭を予見できなかったのが、逆に当時はそうだったかと興味深かった。2021/09/30
俊
16
植民地化以降の東南アジアの歴史を巨視的に捉えた新書。アジア各国が近代国家になるまでの歩みを比較史的に考察している。フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイといった国々の歴史の概説部分は面白かった。2015/08/30
coolflat
13
シンガポール・マラッカ・ペナンをなす海峡植民地=自由貿易帝国圏。この英国による「自由貿易帝国」圏は19世紀に、オランダもポルトガルも成し得なかった、華僑による朝貢貿易システムを解体させた。解体されたとはいっても、これまでの古い宗主権秩序が破壊されただけで、華僑のネットワークは維持された。この華僑ネットワークと英国「自由貿易帝国」圏が結びつき、シンガポールは発展する。現在、この英国「自由貿易帝国」圏は、米国の秩序に組み込まれている。日本はこの秩序において「アジアの工場」=「アジアの兵站基地」の位置を占めた。2016/05/05
K
6
普段から新聞をよく読んでいれば不要。2016/01/29