新潮文庫<br> ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨

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新潮文庫
ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨

  • 著者名:山田詠美【著】
  • 価格 ¥649(本体¥590)
  • 新潮社(2011/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101036175

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内容説明

メイクラブまでは一瞬だった。立ち入り禁止のドアの向こう、横たわるスペースもないその空間で、私は立ったまま片足を高く上げハイヒールを壁に付ける。足首には小さなショーツが巻きついている。やがて体の芯に“あれ”が来て、すべての感覚が麻痺してしまった。「うちに来て」――黒人脱走兵・スプーンとの生活がはじまった。愛の表現も謝罪の表現も、私を気持ちよくするための方法を、彼はファックしか知らない。かわいいスプーン――。黒人との愛を描いた、デビュー作を含む詠美文学の原点・3編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

291
山田詠美のデビュー作にして、1985年度の文藝賞受賞作。もう27年も前の作品なので、それ相応に衝撃度も薄まり、また幾分か陳腐になっていることは否めない。しかし、それでも未だその鮮度を失ってはおらず、内的なパワーも健在である。ドラッグやファックといった素材の毒々しさや風俗性が全編を覆っているかのようだが、選考委員の中でも保守派の江藤淳までが絶賛するなど、小説の本質は必ずしもそこにはない。スプーンと呼ばれる黒人脱走兵とキム(その命名もまた土着的ではない)の物語は、都市の中での心の漂泊と悲哀を描くからである。2012/12/28

優希

101
とても生々しくてねっとりとした熱を含んでいました。黒人とのメイクラブを通じて描かれる世界。狂おしさ、愛と復讐、そして憎悪と慈愛。そこには人種を超えた愛の普遍性を感じさせる世界がありました。余計なものを削ぎ落とした剥き出しの鋭い感覚に悪酔いしたようになりますが、読まずにはいられなかったです。強烈なエネルギーを放つセンセーショナルな作品だと思いました。2015/10/12

ゆいまある

76
3編入り。ベッドタイムアイズは再読。日本文学の文体で語られる黒人男性との恋愛。猛烈にかっこいい。比喩表現の上手さで自分の体験のように感じられる(淋しさは鳴るとか、夜の底が白くなったと言われて、全然分かってなくてもあー、わかるーと言ってしまうあの気持ち)。昼間にジョイント吹かしてる場面が、何にも所属してないのに確かに存在してる気がしてずっと心に残ってた。外国語混じりの文章は中二病にしかならない筈なのに、「ベイビー、リスントゥザレイン」がもうカッコ良すぎて(こうやって書いてると恥ずかしい)。やっぱ天才だな。2019/09/27

パトラッシュ

66
戦前の私小説に見られた「ダメ男に尽くす女」の設定を黒人と日本人女性の関係に移し、セックスとドラッグの強烈な香辛料をまぶした濃厚なステーキというところか。高齢者や伝統文学愛好家の気に入るはずがなく、批判を集めたのも当然だろう。しかし、バルザックやゾラが執拗に描いた貧しさや金の問題を故意に避けているので、女たちが経済的な苦労で惨めになる姿はない。不道徳なはずの描写に猥褻さや汚らしさは感じられず、ピュアなほど一途な恋愛や血のつながらない母子の理解が美しい。作者が描きたかったのは、人間関係の美しさかと思うほどだ。2020/12/06

Shoji

55
昭和60年(1985年)、バブル真っ盛り、こんな時代だったよな、が一番初めの感想です。ストーリーはバブルなんて全く関係ありませんけど。淑女たちは夜な夜なディスコに繰り出しては何故だか米国の男性との甘く危険なメイクラブに憧れていた。そんな時代の三つの物語。エロいが、いやらしくはない。人間模様の描写がとても素晴らしい。三話とも甘く危険で抜群に面白かった。2019/03/13

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