集英社文庫<br> 逃がれの街

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集英社文庫
逃がれの街

  • 著者名:北方謙三【著】
  • 価格 ¥550(本体¥500)
  • 集英社(2016/02発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087508482

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内容説明

愛する女・牧子のために暴力団員2人を殺した。生々しい感触が今も幸二の掌に残っている。自分の行為に対して言い訳などなかった。終わってしまったことからは何もはじまらない……。警察と暴力団の双方が追ってくる。逃げるだけだ。公園で知り合った幼いヒロシを唯一の友に、幸二は今、“逃がれの街”を求めて雪の軽井沢へ……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

つねじろう

63
その昔TVでハードボイルドを語る対談かなんかで自分の作品はバードボイルドじゃないと主張する姿が好きじゃなくて読まなかった。でも水滸伝にハマってしまい楊家将と血涙には本当に泣かされた。でそろそろ読んで見ようかなぁって。そう中身は彼が語る通りハードボイルドではない。ただ粗削りを狙った若さが弾けるような魅力がある。それぞれ欠けたものを埋めようとして埋めきれない哀しさとやり場の無い怒りが通奏低音のように沸々と静かに滾り暴発する。痩せ我慢はないがその物語自体のギリギリ感とやるせなさが結果ハードボイルドでした。2018/02/25

みほ (o^-^o)

42
北方謙三さん初読みです。平凡なはずの男が、ひょんな事から犯罪に巻き込まれ殺人犯となり、公園で拾った幼い男の子と逃げようとする物語。あらすじを読む限り、私の好みにドンピシャなのですが、牧子の設定がひっかかって、心底楽しめなかったです、残念。16才の小娘に周りの大人たちが翻弄され過ぎだよ。女に幻想抱きすぎ。オバサンのひがみなんでしょうねぇ、きっと。逃亡劇の中での男のロマンと悲哀と言えば「テロリストのパラソル」。それとどうしても比較してしまって見劣りしました。解説に「檻」が傑作とあったので、読んでみます。2016/01/17

GAKU

36
ちょっとした事で道を踏み外しアウトローへと化す幸二、眠っていた獣の血が目覚める。しかし5歳のヒロシとの逃避行で愛情深い一面も見せ、幸二自身も変わって行く。そんな二人を追う刑事の黒木と牧村。デビュー二作目にして完璧な北方ハードボイルドが完成されている。30数年前の初版を読んだ時、こんな小説を書く日本人がついに現れたと衝撃を受けた。それ以降北方ハードボイルドにどっぷり嵌った。久しぶりの再読だったが、やはりラストにはホロリときてしまった。 2015/12/08

ken_sakura

22
とても良かった(^_^)主人公は水井幸二、長野出身工業高校を出て二年。東京の電気屋で配達員をする水井が誤認逮捕により会社に居場所を失いアウトローになっていく。堕ちていくようにも下品になっていくようにも見えない。水井の元々持っていたものとそれを支えるための何かが現れてくる。牧子とヒロシ、水井はヒロシを選ぶ。分かる気がする。水井とおっさんの間に流れるもの。分かる気がする。選んだ事に理屈も弁解も要らない。他人に対してでなく、水井の心象が理屈や弁解を持たない。とても良かった。おもしろ本棚の先輩に薦めて頂いた、感謝2019/09/01

かくば

17
牧子と暮らしていた時のヒモ感極まりない幸ニ、逃避行が始まってからの幸ニ、この間の変貌ぶりが面白いです。序盤、自分の名誉や情欲に翻弄される姿はどこか虚しさが残るのに対し、中盤、自分よりか弱いヒロシの為に戦う姿が野蛮ながらむしろ潔いものを感じました。何かを守る男は格好いい。道標のない荒野をまっすぐ突き進んでゆくような、何でもありの展開が熱いです。2014/12/31

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