内容説明
「青い月曜日」は、英語のブルーマンデー(宿酔)に由来する。「私にとって少年時代と青年時代はいつもとめどない宿酔であった」と著者は言う。戦中戦後の混乱し、かつエネルギーみなぎる日本。ある日爆撃で死んでゆく友、見たこともない外国の話と目がまわるような空腹、生活力あふれる庶民たち。大阪に生きたひとりの少年の魂の彷徨、青春なるもののあらゆる陰影を詩情あふれる文体で定着させた開高文学の傑作。この自伝的小説には、開高健の真髄がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミスターテリ―(飛雲)
16
毎年12月は開高先生を偲んで再読。自伝的作品で、生まれ育った場所がまったく同じ、北田辺から昭和町、阿倍野などどこも地元の地名ばかりで、同じ場所で生活していたんだと思うと感慨深い。当然戦後の焼け跡の風景でいまの面影はないが、そこには痩せて目だけがギラギラした青年が夢を求めて戦後を生き抜く姿が描かれている。ととちゃぷや、わぁらぁの発音、セキルコンビのバイトなどユニークなエピソードも満載で、同人誌の作成など原点がここにはある。再読する度にあの当時の開高健に会うことができるが、それにしても早い別れで残念であった。2019/12/18
さっと
10
「生きることは恥をかくことであった」ーそれまでネズミ騒動や北海道開拓民や大阪アパッチ族といった外部への膨大なエネルギーの放出を取り上げてきた小説家が初めて内面に沿って描いたという自伝的小説。戦中・戦後の小説家のまわりにあったものといえば貧乏やそのいくつくさきの飢餓であったことは他作品や回想録を読んで断片的に知ってはいたけれど、本人の告白(文体)で読むとやはりすさまじいものである。そこへきてベトナム戦地での自身の壮絶な体験を挟んで終戦までの第一部と子どもが生まれるまでの第二部で文体が変わる。闇三部作に続く。2019/03/31
Makoto Yamamoto
6
青い月曜日はブルーマンデーのこと。憂鬱な日のこと。 著者の青春期の自伝。 前半は戦争が終わるまで、後半は敗戦後長女がな生まれるまでを、違った文体で書いている。 ベトナムへ行った前後で変わったらしい。 好きなのは後半の文体。 あとに書かれた耳の物語を読みたくなった。2019/01/29
k.t
4
すばらしい! 後半は圧倒的な力で引き込まれた。開高健の日本語って好きなんだよなぁ。2009/08/26
夢の終わり
3
読んでいると飲みこまれてしまいそうなほど「その場」の空気が表現されています。戦中と戦後まもなくは本当に大変な時代だったのだなと。天王寺動物園界隈だけは今も別な意味でめちゃめちゃな気がしますが…。2014/01/13