内容説明
孤独は単に淋しいなどというものではない。もっと深く、すべてのものを拒絶する姿だ。人は孤独を凝視しつつ、何かを求めねばならない。若き日に敗戦のショックがもたらした虚無的生活。長く厳しい闘病生活。しかも、その間には恋人を同じ病で喪うという過酷な日々をくぐり抜けてきた著者が、今、広い愛の心で綴る珠玉のエッセイ。恋愛、結婚、人間の生きがい等々を語りつつ、篤い信仰の心と他人への暖かい思いに満ちた著者が、限りない愛と明日への希望を説く人生論。
カバーイラスト/熊谷博人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
37
三浦綾子さんの随筆集です。忘れっぽい、割りとお茶目な三浦さんの素顔がおもしろい。外食時に食べ残し持ち帰るエピソードは時代のせいか共感は出来ないが、なるほど、と、感心させられた。置き土産のような心暖まる話も好きだ。孤独というより、人との繋がりの大切さを感じる本でした。そして、神がそばにいるから孤独ではないとおもえるひが自分にも来るといいなと思いました。2016/09/01
金吾
32
○三浦さんのエッセイで毎回感じる感謝、謙虚、思いやりがこの本でも全面的に表れており、読んでいて爽やかな気持ちになれます。特に夫婦の話は素晴らしく、妻に対する感謝と尊重、思いやりが自分は足りないなと反省しました。2023/06/16
黒澤ペンギン
15
三浦綾子のエッセイの中でも、人生に寄り添い照らしてくれる一冊。「わたしはなぜ書くか」では三浦綾子にとっての文学とはについても書かれている。 本旨とは逸れるが、白金温泉に行く途中の白樺林は自分も好きだったので言及があり嬉しい。新潮文庫の「道ありき」の表紙を初めて見た時もこの白樺林を思い出した。2022/09/10
チサエ
8
KindleUnlimitedにて数十年ぶりの再読。人との関わりの中で、寄り添うことのたいせつさ。作中から→「人間は、手がなくとも、足がなくとも、人間であることに変わりはない。だけど、もし五体が満足に備わっていても、美しいものを美しいと思う心が失われ、人の痛みを痛む心を失ったら、それは人間ではない」2023/05/29
あかつや
6
「自分が孤独だと思っていた時、実はそのすぐとなりに神がいた」信仰篤い著者が様々な媒体で発表してきたエッセイをまとめたもの。赤旗にも書いてらっしゃったんすねえ。共産主義者のとなりにも神はいるだろうか。読んでいると著者の人柄が偲ばれて、やはり立派な人だなあと。立派すぎて逆に親しみを覚えないというか、近くにいても自分は寄ってかないな。でも世間で見かけたお行儀の悪い人にグチグチっと誌面でお説教されてるのとかはなんか俗っぽくていいよ。三浦さんも人間だから、ちょっとイラッとしたのを書いて発散ってこともあったろう。2023/02/25