感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鮎
7
仏は仏陀を指す以前にまずホトケという言葉があり、古来よりそれは死者を意味したと柳田は言うが、後世GODに神の字をあてたのと同じくらい、これは語弊を招くまずい選択だったと思う。正月に祭る歳神の本来の姿を考証し、盆との対応や春分秋分との関連から、古来よりの祖霊信仰のあり方をあぶり出す。ご先祖様と聞いて思い浮かぶのはお仏壇にあった古い写真で、そこには知覧から特攻して玉砕した若き大叔父の顔があった。終戦間近の頃、柳田はまさに彼らのために本書を物したのだ。大きな震災を経験したいま、その慰霊鎮魂への熱情が胸に迫る。2018/04/06
じょういち
2
随所に仏教批判があるのが印象的だが、柳田の指摘したい核心はそこではなく、(戦中の執筆という観点から)同時代史的に見ても、人が死ぬ、それも家族がという事態において、日本人が何を思い、何をしてきたかであろう。柳田民俗学を知ろうとする上でのヒントも多かったように思う。2015/01/15
green
1
先祖について、民俗学の知識・資料をもとに、書き残した本。昔からのいい伝えなどは廃れ、変わっていっているが、後世のためにこの時点で(S20)記録しておく目的。正月・盆・彼岸について、神と霊について、神と仏について、などなど、どういった経緯で受け継がれてきたか、の考察が示されている。私としては、たとえ実践できなくても、ときどき触れて大切にしていきたいと思う。 廃刊になっていたものを、全国の墓石店に配る目的で新訂として発刊。2021/05/11