内容説明
「障害」児・者のお母さんの就業状況を詳しく知りたいと思い、厚生省に問い合わせた。するとその種の統計はないという。この問題をテーマにした図書や資料も探してみたが見つからず、やっと行きあたったのが、1995年に大阪で「障害」児・者の親の会(「障害(児)者の家族の健康・生活調査」大阪実行委員会)が行った調査の報告書だった。在宅の「障害」児・者の介助者(家族)の96パーセントが母親で、うち70パーセントは働いていない。働いている人も半数弱がパートで、常雇は二割に満たない。あとは自営か内職など(回答者3200余名)。「子どものいる世帯における母の就業率56.0パーセント」(総務庁統計局・98年度)の社会の、もう一つの現実が、そこにあった。お母さんたちに会いたい。そして「障害」児・者の母親が「働く」という視点から見えてくるものに出会いたいと思った。二年前のことだ。取材対象者の中心は、主に首都圏在住の、「障害」児・者の働いているお母さんたちだ。地方よりも福祉が進んでいると言われるこれらの地域の“現実”の一端を、当事者でない人にも知ってほしい。一般市民の生活も、そこに密接に結びついている。
目次
保育園の壁
保育園より療育施設?
学校・放課後の壁
「障害」児の母親が働く気持ち・キモチ・きもち
丸ごとルポ 生きる場をひらく
内と外に立ちはだかるバリアを超えて