内容説明
太平洋戦争史上、最も愚劣なインパール作戦!―密林に累々と横たわる屍…白骨街道。この戦争を糺す「火野戦争文学」の集大成!
著者等紹介
火野葦平[ヒノアシヘイ]
1907年1月、福岡県若松市生まれ。早稲田大学文学部英文科中退。1937年9月、陸軍伍長して召集される。1938年「糞尿譚」で第6回芥川賞受賞。このため中支派遣軍報道部に転属となり、以後太平洋各地の戦線に従軍。1960年1月、死去(自殺)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勝浩1958
4
著者自身の悲惨な体験がないとこのような凄惨な戦争そのものを描くことはできなかったと想う。作中である兵に語らせていたトーマス・マンの言葉「国家などといっている間は、人間の不幸は絶えぬ」が心に響いた。2013/11/12
teitowoaruku
2
何もかもが欠乏する極限の戦場で、乞食同然の部隊で輪になって汗だし運動を行い、互いの背中に浮き出た汗を舐めあい塩分を摂取する兵隊たち。地獄の最下層に追いやられた兵隊たちは屑扱いされたが、それゆえに人間の証明を求めて必死に戦った。2020/07/01
sprexphkr138
1
いろんな階級の登場人物がいるが、階級が上がるほど立派な人物からかけ離れる。特にインパール作戦は、人の上に立つ器量の無い者が人の上に立ったものだから凄惨を極めた。本書は企画立案力が欠如した指揮官による作戦により、兵士たちの徒労に終わる任務の物語だが、一言で徒労だと決めつけてしまうのはあまりにも悲惨である。何時の時代にも愚かな指導者とそれに従わざるを得ない立場の者は存在するのであり、人の上に立ってはいけない者が立つとどうなってしまうのかを示す事例だ。本書ではそれを淡々と記述しており、それだけに迫力があった。2016/07/27