内容説明
普通の人びとが織りなす人生と性の不可思議を独特の語りで描き出す九つの短篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
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再読。富岡多恵子が編集した、講談社文芸文庫の大阪文学名作選が売れ続けているということで新聞に談話が載っていた。それでご無沙汰だった富岡多恵子のことを思い出したのだけど、私もいちおう小説を書く人間だから、と談話中にあり、そうだよな、この人の書くものトンガッてたよな、と引っ張りだしてきたら、なんつか、この濃密さは昨今の流行の女流作家には書けないものだよね。2012/04/16
kazhc57
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短編集でそれぞれ内容は独立しています。読んだ一か月後に感想を書こうとしたら、ほとんど内容を忘れていて、自分の記憶力のなさを嘆きながらざっと再読しました。すると忘れていたのは私の記憶力のせいだけではなく、この本自体、内容よりも文体や時代背景の印象の方が強いせいがしてきました。登場人物はちょっと常軌を逸した人たちが多いのですが、自分をまともと思っていて、逆に世間がおかしいせいで自分が被害を受けている、と感じているのも共通しています。短編の中でも視点が登場人物内でくるくる変わるものもあり、独特な感じです。2023/02/02