内容説明
バブルが弾け、湾岸戦争が勃発し、社会主義圏が崩壊した90年代の前半。高度資本主義が未知の領域に達するなか、日本社会は阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、金融システムの危機、グローバル化に揺れた。本を通して混迷の90年代を読む。
目次
1 九〇年代的言語空間へ―1991~1997年(中野美代子創作集を読む―『契丹伝奇集』『鮫人』『ゼノンの時計』;孤独と背中合わせの性愛―上野千鶴子『性愛論』 ほか)
2 知のあり方を読む―1992~1994年(大冊に漲る朗らかな断定―小西甚一『日本文藝史5』;哲学家と探偵―東直己『探偵はバーにいる』 ほか)
3 政治・経済・社会の変容―1993~1997年(成熟した思考 「バブル」の後に読んでもらいたい本―長谷川慶太郎/植草一秀『これからの日本経済』、佐伯啓思『「欲望」と資本主義』、加藤栄一『オトナの社会科』;政治に憑かれる人たち 現代政治を楽しんでみよう―田中清玄・インタビュー大須賀瑞夫『田中清玄自伝』、伊東秀子『めぐりくる季節』、江藤淳『大空白の時代』 ほか)
4 古いことと新しいこと―1994~1995年(思考のヒントに満ちた二大戦後思想家の対談―埴谷雄高『幻視者宣言』;高度消費社会を生き抜く実践的プログラム―ロバート・タッカー/牧野昇監訳『超躍進』 ほか)
5 コンパクトに根本問題を―1994~1995年(日本の先端技術の現在―牧野昇監修『六大技術革命』;「百姓」とは何か―網野善彦『日本社会再考』 ほか)
著者等紹介
鷲田小彌太[ワシダコヤタ]
1942年北海道札幌市生まれ。1966年大阪大学文学部哲学科卒業。1972年大阪大学大学院文学研究科哲学・哲学史専攻博士課程修了。三重短期大学教授を経て、札幌大学教授。哲学・倫理学を担当。評論活動、エッセイ、人生書等の執筆も精力的に行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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