出版社内容情報
景仰すべき名宰相晏子の真骨頂、高雅な詩人王維の謎、太平広記・夷堅志の伝奇説話の妙。中国古典に造詣深い世界的数学者が、注目の人物・作品を紹介し、人間と運命の種々相を描いた人物絵巻。
志村 五郎[シムラ ゴロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
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韓信
1
王維の詩から高雅な人となりとその身辺を探り、『晏子春秋』からは晏子と斉の景公という非凡人と凡人像を立ち上げ、『太平広記』や『夷堅志』のニッチな怪異譚を抄訳する、融通無碍の漢籍読書案内。説話の類型化と伝播の考察や、杜甫に報じた王維の詩が残っていないのは弟・王縉の杜甫への恨みからとする推測、宋代の民間では死者が蘇生するための九天玄女の法が横行していたようすなど、興味深い話題が多い。漢籍への深い造詣と中国史に限らぬ歴史への透徹したまなざしから、著者は中文学者とばかり思っていたが、数学者だというのが驚き。2014/05/20
aaaaaaaakoko
0
大変口の悪い、超一流の数学者が趣味で中国の古典を翻訳したのを書き留めたノートを明徳出版社の社長の勧めにより出版したもの。白文は掲載されていないので学習用には不向きです。本邦初の翻訳が多く中国文学に興味がある人には新鮮かもしれません。本文とは関係ないですが著者があとがきで、いつもプリンストン大学の図書館を利用しているが、そこには日本語の本が少なく、参考図書として中国や台湾の本を利用したと書いてます。これは単にアメリカで日本の書物が入手しづらいのか或いは日本語の書物の質が低いからなのかと、気になりました。2014/11/05