出版社内容情報
十五歳から十八歳までの三年間、私は俳句少年であり、他のどんな文学形式よりも十七音の俳句に熱中していた。(手稿より)やがて、短歌へ、散文へ、戯曲へと、より荒波の海の彼方へ船出してゆく寺山修司の自選代表句集。還ることを願って叶わなかった俳句への憧憬を込めて、初文庫化。 (岡井隆×角川春樹対談収録)
内容説明
15歳から18歳までの3年間、私は俳句少年であり、他のどんな文学形式よりも十七音の俳句に熱中していた。(手稿より)やがて、短歌へ、散文へ、戯曲へと、より荒波の海の彼方へ船出してゆく寺山修司の自選代表句集。還ることを願って叶わなかった俳句への憧憬を込めて、初文庫化。
目次
草の昼食
幼年時代
左手の古典
鬼火の人
望郷書店
だまし絵
狼少年
憑依
少年探偵団
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
21
どこまでが現実で、どこまでが妄想なのかわからない。この句集は大人になってから書かれたものだとばかり思っていたが、十五歳から十八歳までの三年間に書いたものだと知り驚かされる。鬼才寺山修司の片鱗はすでに少年の時分からあったということだろうか。現実に起きたことであれば凄まじいし、虚構の世界のことであれば、なおのこと恐ろしいと思わざるをえない。十七文字に集約された、少年寺山修司の想いは今なお人の胸に食い入り、切り刻むのだ。2012/03/05
鮎
8
【メモ】父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し/朝の麦踏むものすべて地上とし/影墜ちて雲雀はあがる詩人の死/母を消す火事の中なる鏡台に/心臓の汽笛まつすぐ北望し/花売車どこへ押せども母貧し/電球に蛾を閉じこめし五月かな/わが夏帽どこまで転べども故郷/影を出ておどろきやすき蟻となる/燕と旅人ここが起点の一電柱/秋風やひとさし指は誰の墓/螢来てともす手相の迷路かな/出奔す母の白髪を地平とし/家負うて家に墜ち来ぬ蝸牛/姉と書けばいろは狂いの髪地獄/かくれんぼ三つかぞえて冬となる/母の螢捨てにゆく顔照らされて2017/04/15
ゆりこ
1
繰り返し読んでる本。「花粉航海」って題名がもう、大好き。美しいです。2011/08/07
きりん
0
寺山修司の句集。ここにある作品は、高校生時代の、十代につくったものらしいのだから脱帽という他ない。青春の匂いをたっぷりと感じる。海を臨むその感覚、青い若者。それから父や母を読んだものが多い。こっちも青春性みたいなもの含んでるのかもしれないけど、そうではなく家族のことなど一顧だにしないような個人的で閉鎖的、それでいて明るい、そういう青春の句の方が好き。熟練とかしてほしくないや。2013/11/14
amabiko
0
「老嬢に暗き蜜あれわれには詩を 修司」2010/05/15