内容説明
それが好奇心からであろうと、義憤からであろうと、人の心を捉えて放さない犯罪というものが確かにある。善悪を超えて、人間の生を鮮やかに描きだしてしまう犯罪が。豊田商事事件、グリコ森永事件、オウム神仙の会…。九〇年代を予感させる事件の胎動が始まった頃、「犯罪を通して、そのことによってのみ初めて見えてくる社会のギリギリの極相」をめざし、ひたすら現場へと足を運んだ著者が見た犯罪の原風景を、見事に描きだした犯罪評論の傑作。
目次
1章 円環する心中
2章 新宿警察署留置場日記
3章 グリコ事件を歩く
4章 新宿歌舞伎町に消えた女たち
5章 ワンダー犯罪ランド
6章 無名性にむかうエロス
7章 地獄の季節
8章 芸能界犯罪小史
9章 シラス台地・子殺し哀話