内容説明
自らの嗅覚と事件の“手ざわり”を頼りに、犯罪という濃密な生へと果敢なアプローチを開始した著者のデビュー作。
目次
1章 女殺し「東京概念図」
2章 連続射殺魔、永山則夫と資本論との出会い
3章 かぐや姫の思いがけない犯罪
4章 ウィークエンド犯罪譚
5章 国家が犯罪するとき
6章 よみがえるヨシン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
澤水月
9
1982デビュー本。品川の放火から闊達に連想逸脱、自警団横暴・個への圧、異国人や大杉栄も引く思想合わぬもの排斥は、震災と不況経て疫病デマ蔓延の2020現在と状況酷似で驚く。町内会長や放火者、住所実名も…。戦後政治中心は新橋闇市から派生・赤坂に蠢く裏社会と大陸系外国人らと喝破する章も迫力(後にデヴィ夫人と呼ばれる女性、力道山事件ほかも言及。著者も軟禁され山ほど暴力装置蠢く)。最後はアイヌたちの苦難、「国」の犯罪を突き詰める。デロリン祭文など芸能も。大変癖のある文章だが現場重視の姿勢良くルポというより文学の趣2020/03/21