出版社内容情報
大正2年、俳句のメッカ松山に、非業の生涯を遂げることになるひとつの命が誕生した。17文字という世界最短小の文芸に身を捧げ、東京での極貧生活から身を立て、結社を築き、今なお私たちの心を揺り立たせずにおかない数々の名句を紡ぎ出した男、石田波郷。従軍によって結核を患いながらも、歴代最年少で読売文学賞を受賞する俳人・波郷の生涯を、その俳句作品から丹念に綴った、詩的宇宙の評伝小説。故中上健次氏が最後まで描くことを希求した石田波郷を、本書では秋幸と称ぶ。
内容説明
俳句という狂気。伝統か革新か―。「俳句現代」連載、「ある俳人の生涯」とは、石田波郷その人である。
感想・レビュー
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ゆうゆうpanda
42
石田波郷の命日「波郷忌」で一句!のお勉強の為に。病を得てから益々句作に情熱を燃やし、病床俳句を多数詠んだ人らしいが、本書は波郷の青春編という趣。数人の女性との恋愛や師である秋櫻子との確執、和解など揺れ動く若者の姿が描かれている。独立した短編小説として読めるように配慮されている。また、句自体を引用することを避け、読者に好奇心を抱かせるように仕向けている。この若者がどう化けていくか?それは実際に句集を読んで下さいよということなのだろう。早速句集を借りてみる。この句のことかな?クイズ感覚で探すのも楽しい秋の夜。2016/10/08