感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
原題はLes Structures sociales de l’économie。本書は新自由主義批判の例として住宅市場を取り上げ、国家の住宅政策によって構築される社会的条件が、購入か賃貸か、新築か中古かという選択肢を作り、小市民階級の「自由」を作り出しているとする。フランスでは1970年代に消費社会に入り80年代には家はローンを組んで買うものになった。80年代のデータを読み解く著者は、個々の生の状況を数学化した経済学が政策を競争市場化し、小市民階級をデータとして制御して、状況の悲惨を隠蔽する過程を見る。2024/05/26
ぷほは
3
晩期ブルデューの著作としてはまとまりもありつつそれほど分量もないので読みやすい。最初に結構ばっさり経済学をディスりつつ、大雑把な分布の分析が細かな事実確認と企業情報をベースに行われ、ついで顧客と販売員のやりとり、地方名士と官僚ネットワーク、銀行と国家の政策の挙動が「界」の中の闘争として割と一緒くたに論じられる。最後の結論も経済学批判なのだが、同時にエスノメソドロジーと構造主義者の双方も攻撃しつつ、自らの研究の総合性を強調するのだが、データの膨大さとその労力に見合った知見があるかと言われると微妙な気もする。2018/12/25
Happy Like a Honeybee
0
家とは、家族と言う単位が譲渡可能な特定資産を蓄積保存するための主要な手段一つである。住宅とは先進国において、小市民階級の夢と困窮なのか..。具体例は本書にて。束縛なき市場に委ねられた合理的選択ではない。市場や経済と呼ばれるものは、自然の産物ではなく、自由平等の場でもなく、社会的に構成、構造化されているのであり、闘争と権力の空間でもある。2014/01/19