内容説明
明治期から一九四五年の敗戦までの時期は、男の視点と言説に女性が従属し束縛された「暗い」時代と見なされることが多い。しかしよく見れば、たえず男の規範を侵犯し、抵抗し、自ら生きようとした女たちの姿がそこにはある。「鬩ぎ合う女と男」の時代を、沖縄、満洲文学、女教祖、セクシュアリティなど越境と周縁のイメージから、写真と女性、女性作家による女と男、女たちや少女の雑誌など表象の時空から、また労働、国家の射程のなかでの教育や戦争と女たちのありようから問い直す。
目次
2 表象の時空へ(もう一つの『青鞜』―女たちの連帯をめざした雑誌『新真婦人』)
3 労働からの視座(看護婦の誕生;女中の歴史)
4 国家の射程の中で(「国民国家」の中の女性―明治期を中心に;「良妻賢母主義教育」の逸脱と回収―大正・昭和前期を中心に;女と戦争―母性/家族/国家;戦時下の農村女性たち)