内容説明
音と人間社会の歴史、鐘の音が形づくる聴覚空間と共同体のアイデンティティーを描く。
目次
1 音のアイデンティティーの擁護(感性の文化を変えることの不可能性;「鐘の略奪者」)
2 お国びいきの心性(共同体の鐘;農民の聴覚の指標;真実の厚み)
3 鐘を鳴らす力(地方的紛争の争点;音のメッセージの統制;主要な「衝突」)
歴史の対位法(推論された感性から公言された感性へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
10
これは和訳タイトルが…。読んだのは100ページまでと訳者解説だけ。原題は「大地の鐘」、400ページに渡ってずっと教会の鐘の鐘(特にフランス革命後)について。かつて征服した町の鐘を溶かして大砲にする風習があった。教会権力を否定した共和国が、各地の鐘を取り外そうとしたとき民衆の思わぬ大反対に会う。また町民が勝手に鐘を鳴らそうとし、聖職者はそれを止めるという内輪もめ?もある。それは、民衆が教会の鐘を、単に宗教的なものではなく、おらが町を音によって空間的に一体化させる象徴的存在として見て(聞いて)いたから。2020/06/24