内容説明
この「蛙の消滅」は「蛙のゴム靴」の初期形です。後者は娘の蛙のお嫁さんとハッピーエンドになりますが、シニカルに蛙たちの欲望をとらえ、バブル以後の現代人につきつけます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
74
図書館で見つけ、🐸タイトルにショックを受けつつ借りてしまった。宮沢賢治の小説を絵本にしたもの。仲良しカエル🐸🐸🐸だったが、一匹がゴム靴を手に入れたことで、仲が悪くなる。悪い感情は、悲しい結果しか生まないということ。絵は素敵。カエル🐸がてんとう虫🐞と結婚するというのも楽しいね。私keroppi🐸は、消滅しませんよ。2022/10/22
とよぽん
37
「蛙のゴム靴」が図書館になかったので、「蛙の消滅」を借りた。消滅とは・・・何やら穏やかならぬものを感じる。そう思いつつ読み始めたが、何と絵の美的なこと！ まず、お話よりも絵の魅力に惹きつけられた。これは蛙から見た世界だが、因果応報とか、自業自得などという教訓ではなく、生きものの弱さ、醜さ、哀しさ、滑稽さを宮沢賢治がうたっているような・・・私はそう受け取った。2020/05/31
みずたま
18
宮沢賢治×小林敏也。とにかく挿絵が素晴らしい。蛙ら生物、植物、風景が色鮮やかに表現されており、物語と一体化している。3匹の蛙の風刺的な物語は人間社会に通じるもの。己の見栄や欲望、それに対する反感や嫉妬が絡んだ事件なんて毎日のように起きている。表面しか見ず逃げ出してしまうてんとう虫みたいな人もいる。悲惨な結末は物語だけでいいんだけどね。2015/02/28
栗 餡子
10
今は残念ながら解散したパロル舎の宮沢賢治画本シリーズ。骨太で存在感のある小林敏也氏の絵が宮沢作品にピッタリです。 内容は抜ける様な青空や目に眩しい白い雲とは相反する様な何とも切ない蛙の運命...女ってシビアだ。2017/11/01
丸和 華
5
カン、ブン、ベン。三匹の蛙は仲良し蛙。少し離れた所に住んでいるけれどしょっちゅう集まってはなんとはなしに、雲の峰をぼーっと雲見することを楽しんでいました。ある日事件が起こります。その子の行動が三匹の心地良いトライアングルをじわりじわりと破壊し、ついには。どの世界でも妬みの感情に支配されてしまうと、こういう末路を迎えることになるのでしょうね。教訓作▽良いな、と思う気持ち、羨ましいな、と思う気持ちを持つこと自体は悪ではないと思うのですよね。それを向上心に注ぐように方向づけることが出来るのならば。私も頑張ろう！2021/11/20
