内容説明
19世紀前半のロシア、皇帝ニコライ1世の絶対的な権力支配のもと、高らかに“愛”と“自由”を謳いあげ、いまなお民衆から最も強く愛されている“ロシアの宝”。わずか37年という、短くも劇的なその生涯を描きつくす決定版評伝。
目次
モスクワ
先祖の人々
幼年時代
リツェイ。教授たち
友人たち。天職
戦争
初めての成功
恋愛および政治入門
サロンから売春宿へ
「アルザマス会」と「緑のランプ」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
14
天才につきもののというべきか、彼はなかなかオトナになりきれなかった。しかし詩に関しては、誰よりも真剣だった。二人の兄弟皇帝からの追放や監視に苦しめられながらも、言葉を選び文を紡ぎ、自由な魂と愛を謳い続けた。皇帝が「粗野で下品」と愛さなかったロシアの民と土地を愛し、数々の名作を残した。伝記というより小説を読んでいるようであり、トロワイヤの彼への並々ならぬ思い入れが感じられる。さもあらん。一介の詩人としても、そしてその若さにしても、死してなお、時の皇帝を恐れさせ、激怒させるような文学者はそうはいまい。 2015/01/20
気球に乗ってる人
1
とにかく分厚い。でも読み進めるのが全然苦にならない。年末年始はずっとこれ読んでた。詳しい感想はいずれ書くが、とにかく今は、大量の資料を基礎に据えてそこに作家としての想像力を足して祖国の英雄である人物の伝記を書ききった作者と、最近になってトロワイヤ著の伝記の中で一番の力作が邦訳されてないことが気になったらしい翻訳者様のご活躍に、心からの感謝を捧げるしかない。2020/01/13