内容説明
ある日、悪魔はたいへんごきげんでした。鏡をひとつこしらえたのですが、その鏡には善いものや美しいものは縮んでしまってほとんど映らず、醜いものや悪いものはいっそうひどく、はっきりと映ってしまうのでした。悪魔の学校にかよう小鬼たちは、この鏡をかつぎだし、天へのぼって、神様や天使たちを鏡に映してみようということになりました。だんだん高くのぼっていく間、鏡はニタニタとあざ笑いを浮かべていましたが、そのうちにひどくふるえだし、とうとう小鬼たちの手からすべり落ちて、地上でくだけてしまいました。砂つぶよりも小さい鏡のかけらが世界中にとび散ったのですが、もしそのかけらが目にはいると、その人はすべての物事を意地悪い目で見るようになり、もしそのかけらが心臓につきささると、その人の心は氷のように冷えきってしまうのでした。