内容説明
自分が探し求めているのはいったい何だろう?切ないほどに、何かを恋焦がれているのに、それが何なのかわからない…。そんな思いを抱く若者ジョルジョは、13世紀のトルコの神秘家ルーミーが残した詩に出会い、「愛の道」とも呼ばれる巡礼の旅に出る。イタリアのフィレンツェから、ギリシャの聖地を経て、トルコのイスタンブールへ。若者は次第に自分自身のハートの声に導かれていくが…。心が本当に求めているものを見つけるための旅を、美しく描いた物語。
著者等紹介
フーズデン,ロジャー[フーズデン,ロジャー][Housden,Roger]
1945年イギリスのバース生まれ。1998年にアメリカへ移住し、現在はニューヨーク州ウッドストックに在住。スピリチュアルな洞察をもたらす。世界各地の詩を朗読する会を開いている
サマーヴィル大屋幸子[サマーヴィルオオヤユキコ]
山口県生まれ。津田塾大学英文学科卒業。日本航空福岡支店に勤務した後、短期間の高校教師経験を経て、翻訳家として現在に至る。京都市在住。縁あって約7年間に渡り、奈良県宇陀郡の古い山寺に住まう機会を得て、便利さを追求しない暮らし方・自然との共生・いのちの巡りといったことをより意識するようになる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホンダ
7
腕の良いイコン画家として、幸せながらもどこか満たされない日々を送っていたジョルジョ。彼はある日、ルーミーの詩の一節と運命的な出会いを果たし、欠落した何かを追い求めるため旅立つこととなる。真理を探究する旅や寓意的な語り口といった要素、行く先々で霊感を与える人々。後書きにも書いてあるとおり、物語の作りは確かにアルケミストによく似ている。このような大人のための御伽噺には、ルーミーの神秘的な詩はまさにうってつけだろう。ジョルジョは旅を通じて己を見つめ続け、ついには本当に追い求めていたものを見つけ出すこととなる。2021/08/28
清少納言
6
キリスト教やイスラム教という枠を越えてもっと深いところでの本質に目を向けた考え方で自分を見つけていくところがこの本の魅力だと思う。物語の中でイスタンブールのスーフィーが青年に語る「一羽の鳥が見守っている間、もう一羽には餌をとらせよう」というものがある。静と動、自分の中にある穏やかなものと激しいもの、不動のものと移ろうもの、聖なるものと日常的なものなど色々と捉えられる。多宗教、多文化共生という宗教・文化の境界、枠を越えたスピリチュアリティが描かれていることがこの本の核心ではないかと思う。2015/04/26
ゆかり
1
ルーミー:13世紀のスーフィー(イスラム教の神秘家)。内なる声に導かれて、主人公は他者と関わりながら様々な愛に触れる。ギリシャ人でギリシャ正教の主人公が、トルコ、イスラム文化、スーフィズム、ルーミーの霊廟まで導かれる。心の声に耳を傾け、内なる自分に向き合う、素直に、穏やかに、調和に身を任せることなのかなと思う。「独りでいる時間を利用して、自分自身のなかに入る。自然に聞こえてくる声に耳を傾ける。自分のすべきことがわかっている部分がある。その声を聴く。これが愛の知性だ。」2021/05/24
yamaneko*
1
この本を読んで、ギリシャやトルコに興味が湧きました。2010/08/26
カバラン
0
読んでいると仕事疲れを忘れるようだ。詩をもっと読みたい。二羽の鳥の話は体外離脱をすると当然に思える。臨死体験でなくできれば良いのだが。2017/09/22