内容説明
櫟健介と妻・知子、息子の究介の一家が住むアパートの大家が殺された。完璧な密室だった現場、遺産相続問題、それぞれ動機を持つ住人たち。櫟ファミリーがたどり着いた意外な犯人の姿とは!?生活感溢れる描写と二転三転する展開が魅力の長篇「二つの陰画」、さらに同シリーズの短篇2作、作品ノート、単行本未収録のボーナストラックも収録。仁木悦子ならではのアットフォームな世界を堪能できる、名探偵コレクション第2弾。
著者等紹介
仁木悦子[ニキエツコ]
1928年、東京生れ。四歳の時に胸椎カリエスに罹り、身体障害者となるが、53年から童話などを書き始め、懸賞募集や同人誌などに約百篇を発表。56年、河出書房の長篇ミステリ募集に投じた処女作『猫は知っていた』が一席入選する。翌57年、一般の公募となった江戸川乱歩賞に回され、仁木悦子は初の乱歩賞作家としてデビュー、大ベストセラーとなる。その後、良質の作品をコンスタントに発表、推理ファンの支持を得る。81年には、短編『赤い猫』で日本推理作家協会賞を受賞した。86年11月、腎不全のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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竜王五代の人
2
長編「二つの陰画」は容疑者・関係者としてアパートの住人総出でちと頭がだれる。こういうのこそ、ミステリにつきものの登場人物一覧が欲しいところ。そしてこれの関連作「花は夜散る」「一匹や二匹」は再読だけど、この作者らしい引き締まった短編だと思う。2022/05/19
抹茶
2
伏線が全て回収されて皆納得の解決が導き出されていくのが面白い。あの人のめんどくさがりには笑ってしまった。もうお花の先生に尻に敷かれていくのが幸せでしょう。花は夜散る、一匹や二匹と読み進めていくと、究介君が真っ直ぐな少年に育ったのが知れて親戚のおばさんのように嬉しくなった。林郁夫君の名前を他の仁木作品で見た気がするのは気のせいかな?2016/06/05
kagetrasama-aoi(葵・橘)
2
櫟ファミリーが活躍する、長篇一編とニ編の短編、そしてボーナス・トラックの推理童話が一編収録されています。長篇の「二つの陰画」、とても凝った作品で、最後の最後まで飽きさせない趣向のお話。作品自体は古いんだけど、そんなこと気にならない面白さ。櫟健介と妻の知子の掛け合いが楽しい。二編の短編は、夫妻の子供、究介の成長した姿が見ること出来て、その点からも嬉しい作品。思春期の男の子の純真さが上手く表現されていて、子供を描くのが得意な仁木悦子氏らしいお話になっています。それにしても、あのような生い立ちで(続く)→2015/12/24
なつめ
2
アットホームな作品…て紹介されてますが、確かに櫟一家はアットホームでしたが、事件は遺産相続やらなにやらと2時間ドラマのようでした^^^^^^懸賞ミステリ?というものを初めて知りました。2012/01/03
Mika Ando
1
★★☆☆☆短編集かと思いきや、オモイッキリ長編。カメラマンの旦那よりも、井戸端会議的な好奇心で情報収集していく奥様が凄い。組合せの妙だけれど実際身近にいたらうざいタイプかも。2012/09/10