感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信
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著者が自身の研究生活を振り返りながら中国史像を語る講演録。学生時代以来の再読。いまの領土問題然り現実の問題意識に即して歴史を見るとバイアスがかかるというジレンマがあるが、昨今の学界の大勢のように、ただ過去の客観的事象を明らかにするのではなく、それを素材に自分の人生や社会を考えることを目標におく著者の姿勢は本来歴史学として健全なものだろう。全面的には賛同しかねるが、中国史を「共同体の再編の歴史」とし、軍事や経済でなく人間本位に歴史を捉える史観はやはり魅力的だし、まさしく「生きた人間の歴史」なのかもしれない。2013/09/30