内容説明
彼を愛している?可能な限り多くを奪い、奪い尽くしたい?もしくは与えてしまいたい?彼の肉体と精神を、すべて私の中に閉じ込めてしまいたい?そのどれもが、私にはあてはまらないように思えた―。二人の男に委ねた快楽の日々のなかで、女はひとつの真理をつかみとる。性が起こした純粋な出来事を描く、衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sakai
18
こんな風に人を好きなったことがないからこそ、自分もこんな風になってしまったらどうしようとオロオロしながら読んだ。ナオやチャオにドン引きしながらも何度も何度も「自分はこうじゃないよね?」と自問自答してしまう。こんな価値観ではないと思いながらも見方を変えたら実は根本は同じ、なんてことがあったらどうしよう、と。この自問自答はこれからも当分続くのでしょう。2018/07/26
さんつきくん
4
男女の三角関係と、その3人の性関係を「ナチュラル」に描いた作品。主人公は女流作家のナオ。ナオはナオより売れていない小説家のチャオを網膜的に愛してしまっている。ナオはMなのかチャオに従順的だ。チャオには妻子があり、ナオはそれをも受け入れてベタぼれ。チャオの親友リキはそんな二人の関係を認識しつつ、ナオを愛し、肌を重ねる。不思議な三角関係が成り立つ。読んでてチャオに魅力を感じないし、ナオがそこまで求める理由もよく分からない。マゾでよく躾られた犬ナオ。惚れた腫れたの恋愛模様と性描写だけが印象に残る。2019/07/18
ma!:)
3
よく躾られた犬は、飼い主しか見えないんだよね。飼い主以上に愛してくれる人が居ても、飼い主しか見えない。飼い主がほかの人を見てても、飼い主しか見えない。それが、よく躾られた犬なんだよね。2015/03/01
りさこ
3
自分を「よく躾られた犬」と表現する女性が主人公。自分を躾る"帰る場所"のある男性に愛情を持ちながら、不安定さにその男性の親友をも必要とする。徐々に"安定"に惹かれる彼女だが、最後には心のままに行動する。彼女は、ただ父親の愛情を欲しがる素直な子供だったのだろう。2010/11/24
Peso
2
今年一番の強烈な刺激をうけた。チャオの言動、趣向などキャラクターが私と重なり共感を呼び、私もこんな男になってしまうのでは…などと高望みをして怖くなる。なんとも救い難い、後味の苦々しい作品だ。たまにマゾヒストな部分の自分がこういった本を読みたがる。またこの本を再読したくなる日が来るに違いない。2017/07/13