感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
多くの人が誤解するのとは違って、柳田は西洋や日本の近代化を大枠では肯定した。しかし、近代化は自然の過程ではなく、完全なものでもない。批判的な主体が作り上げる歴史過程である。その主体性の形成するための教育こそが社会変革の鍵を握る。数ある柳田論の中でも自分の柳田観に最も近い。韜晦な柳田の文章を自分の意見に無理に引きつけずに、その背景を調べながら丁寧に解読していけば、こういう解釈になるはずだ。その分議論が明快ではなく、結論だけ手っ取り早く手にいれたい人にはまどろっこしい。道理で、怪しげな柳田論ばかりがはびこる。2019/03/30