出版社内容情報
フォトジャーナリストである著者は、カンボジアの華やかな経済成長の陰で虐げられた人々に寄り添い、非暴力で権力に立ち向かう姿やその思いを長年カメラで追ってきました。臨場感のある写真で同国の現実を伝えています。〇不条理への怒り、嘆き、叫び。
フォトジャーナリストの高橋智史さんは、カンボジアの経済成長の陰で虐げられている人々に寄り添い、権力に非暴力で立ち向かう姿や思いをカメラで追ってきました。
写真集では家や土地を強制収用され、住む場所を失った人たちが登場します。声を上げると暴力で鎮圧されることを繰り返し、それでも人々は力強く生ようとします。花を手に暴力に立ち向かう女性や子供、そして高齢者。いずれも普通に家を持ち、幸せに暮らしたいと願う人ばかりです。
カンボジアの首都・プノンペンを拠点に取材活動を続ける高橋さんは、こうした人々の姿など、主に人権問題に関する報道写真を英字メディアを中心に発表しています。写真集では15年にわたるカンボジア取材の集大成として、同国の現状を伝えています。
〇推薦 熊岡路矢氏(日本映画大学特任教授、カンボジア市民フォーラム共同代表)
紛争が続いたカンボジアは、1990年代の和平協定と国連管理下での総選挙を経て、民主主義や人権が尊重される社会になるはずだった。しかし、クーデターや最大野党の解党を経て、1980年代の一党支配が再来した。高橋智史さんは、写真を通して、15年間のカンボジア現代史の最深部を世界に示してくれた。土地収奪事件の被害者であり活動家のテップ・バニーさん、2016年に暗殺されたケム・レイさんの写真の衝撃は無論のこと、圧政に抗う子どもたちや高齢者、花を持ち武装兵士に対峙する女性たちの姿は胸を打つ。そのすべての写真が心に語りかけてくる。
プロローグ
? 世界人権DAY
? 土地奪われし人々の闘い
? テップ・バニー 社会正義のための闘い
? 変革の願い―カンボジア救国党の台頭と、そして解党
? 政治評論家ケム・レイ氏の暗殺
エピローグ 屈せざる人々の肖像
高橋智史[タカハシサトシ]
著・文・その他/写真
内容説明
第10回名取洋之助写真賞を受賞したフォトジャーナリストによる渾身の写真集。15年にわたるカンボジア取材を基に、現実を突き付ける。
著者等紹介
高橋智史[タカハシサトシ]
フォトジャーナリスト。1981年秋田県秋田市生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒。大学在学中の2003年からカンボジアを中心に東南アジアの社会問題の取材を開始。2007年4月からカンボジアの首都プノンペンに居を移し、同年から約4年間、カンボジアの社会問題や生活、文化、歴史を取材し、秋田魁新報連載「素顔のカンボジア」で発表。現在は、政府と開発業者による土地の強制収用問題などの人権問題に焦点を当て、Cambodia Daily、CNBC、The Guardianなどの英字メディアを中心に報道写真を発表している。主な受賞歴:2006年「上野彦馬賞入賞」。2007年「日本大学芸術学部芸術学部長賞」。2013、14年「国際ジャーナリスト連盟(IFJ)日本賞大賞」。2014年「名取洋之助写真賞」。2016年「三木淳賞奨励賞」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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