内容説明
クマに出会わないために・出会った時のために。遭遇した人、襲われた人、クマを撃つ人、クマ研究家、さまざまな人の視点と出会いの体験が照らし出す、現代のツキノワグマとヒグマの実像!
目次
クマ撃ち、猟師の視点(青森県 本州最北、白神山地のふもとの暮らしとクマを巡る話;山形県 Interview クマ撃ちから見たクマの素顔 ほか)
遭遇体験・危機一髪 ツキノワグマ編(岩手県 視界の利かない360度ササヤブの中で唸り声;岩手県 数分前まで草刈り作業の人がいた近くに親子グマがひょっこり ほか)
クマに襲われた人たちの壮絶体験(岩手県 「あっ」と口から出た声を聞いた瞬間、クマは私めがけて走ってきた;秋田県 最後の1発。親グマは発砲と同時に私に覆いかぶさってきた ほか)
遭遇体験・危機一髪 ヒグマ編(知床 クマは釣り人を睥睨し、河原の近くで悠然とフキをかじり続けた;知床 釣り人を利用して獲物を横取りする「技」を覚えた賢いクマ ほか)
遭遇体験・危機一髪 海外編(ロシア いつも対岸に出るはずのクマが斜め後方に。息詰まる攻防の果て;カナダ ロッジの敷地で母グマを撮影中、気が付けば目の前に子グマ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
19
前作に続く熊との遭遇事例の証言集。研究者等の文章ではなく、渓流釣り師や猟師など一般の人々の生の体験や考えを収録している点が貴重。事例4の秋田のお爺様の体験談や心構えはとても立派で心に残った。遭遇は皆シリアスなのだが、思わず吹き出してしまうような愉快な語り口で述懐されるものもあり、多彩。釣りや山菜採りなど熊の領域に入る場合と異なり、里に熊が下りて農業等へ深刻な被害を与えている事例は戦後の国策で大きく変えられ放置された山林の環境や過疎・少子高齢による地方の暮らしの衰退という人間側の問題の一面とも言えるのでは。2017/11/07
禅
16
シリーズ第2弾。クマは襲う精神状態になると目が赤く光るらしい。今年はクマの目撃情報が多いといつもより感じます。そして数日前、岩手では2009年以来となる熊による死亡事故が起きてしまいました。気配を感じたら冷静な判断が必要ですが、やはりなるべく鉢合わせしないように努力することが肝要です。2020/09/02
ももたろ
6
なんと、友人が熊に遭遇した体験談を寄稿している、というので、読んだ1冊。(やや自慢!)今まで地元のテレビや新聞で、熊出没とか、熊に襲われたという話題を見てもあまり何とも思っていなかったけど、このエピソード集を読むと、熊に襲われてしまう人間の側にも少なからず問題があるのだな、ということが分かった。山の経験値が高そうな方程、熊や、山に対する畏敬の念を感じられた点が印象的だった。2017/11/07
ふたば@気合いは、心を込めて準備中
5
更に、遭遇譚が続々と語られる。出合い頭が怖いというのは、前作と同じ。人間が存在していることを、知らせ続ける必要があるということだろう。しかし、食事中の熊は人間の姿にあまり注意を払わないようだ。食べることのほうが重要なのだろうか。大声で脅したり、大きな石を投げてみたり、と攻撃するのも一つの手のようだ。ま、出会ってしまって、お互い残念なことにならないように、相互に注意を払う必要があるのだろう。2018/03/12
Humbaba
2
人にはそれぞれ個性があるように、熊にも個性はある。ある熊は人工物である鈴の音を聞いて逃げてくれるが、別の熊はそこに人がいることを認識してむしろ近づいてくることもある。生き物を相手にしている以上、絶対的な正解というのはないので、自分がどうするかを考えることこそが大切になる。たとえ確率が低かったり、その姿を見られたら変に思われたりしても、いざという時にどう体を動かすかを検討しておくことは自分の命を救うことになるかもしれない。2023/11/13