内容説明
大正後期、熱気と頽廃の前衛ベルリンから帰国後、美術・デザイン・演劇・映画・文学など多彩な領域でアヴァンギャルド芸術家としての活動を開始した村山知義。エネルギッシュで広範な活動のなかから、本書では主に演劇・映画にかかわる軌跡を中心にたどる。
目次
序 八面六臂の芸術家―またの名、小説家・村山知義
1 ドイツからの啓示を受けて(ベルリーン、一九二二年―遊学中の観劇体験にみる、原風景としての混沌;魂の抱擁―『芸術家の生活』(一九二三年)に見る村山知義の演劇観
アヴァンギャルドの「生活」と「作品」―村山知義一九二二‐一九二七
村山和義と近代舞踊―二人の舞踊家との出会いを中心に)
2 左翼の旗の下に(村山知義の演劇的足跡;一九二〇年代の村山知義―前衛/革命の演劇;プロレタリア映画運動―批評と実践;創造から共有へ―村山和義とプロレタリア・レヴュー;村山和義における演劇と映像の融合)
3 身体・映像・言語(モンタージュ理論と演技術―村山知義の「新しい演技」;リアリズムのトーキーへ!!―村山知義の『新選組』をめぐって;『忍びの者』の周辺―戦後の村山知義と一九二〇‐一九三〇年代の語り直し)
著者等紹介
岩本憲児[イワモトケンジ]
日本大学芸術学部教授、専攻=映画史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mstr_kk
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演劇史の勉強のために読みました。密度高く、読みやすい論文が並んでいて、とてもありがたい本でした。20〜21ページの図も勉強になります。ただ、その図で「1936.6プロット解散」とある一方で井上理恵氏の論文に「そして7月、プロットが解散」(p.181)とあるのがよくわかりません。また、これもよくわからないですが、左翼劇場『生きた新聞』の第一集が1931年に上演されたなら、第二集の上演は「一九三〇(昭和五)年一〇月」ではなく、「一九三一(昭和六)年一〇月」ではないでしょうか(p.272)。もうひとつ。→※2023/01/03