内容説明
長い日中文化交流史の中で、江戸時代初期は明が滅亡し清に王朝が交代する変動期であった。混乱を避けるため、また日明貿易を介して、商人、医者、僧侶、文人など多くの明人が来日した。唐人屋敷が作られた長崎には、彼らとの交流を求め文化人が多く訪れた。渡来明人による文化の移植は、日本文化にいかなる影響を及ぼしたのか。本書は、鎖国前の1619年に明から来日し、尾張藩に仕えた陳元贇(1587‐1671)に焦点を当て、彼が日本で執筆した『老子経通考』の分析を通して、近世老子思想の日本における受容を解明する。
目次
第1部 陳元贇の生涯(陳元贇の傳記;陳元贇來日の目的―『人見雜記』の記録を中心に)
第2部 陳元贇の思想―林希〓『老子〓齋口義』の批判を中心に(『老子經通考』の序跋と傳本研究;陳元贇『老子經通考』と焦〓『老子翼』―引用状況に基づく考察;陳元贇の有無観;陳元贇の「天心聖心一致」論;陳元贇の實學思想)
著者等紹介
李麗[リレイ]
1977年、中国陝西省西安市に生まれる。2001年、来日。名古屋大学文学部人文学科中国哲学専攻卒業。高等学校教諭専修免許(中国語)取得。名古屋大学大学院文学研究科人文学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、南山大学、中部大学等非常勤講師。陳元贇研究会を立ち上げ、記念活動など活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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