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日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和(パックス・トクガワーナ)へ―渡辺京二傑作選〈1〉

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  • サイズ 新書判/ページ数 335p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862487667
  • NDC分類 210.47
  • Cコード C0221

内容説明

日本のルネサンスともいうべき可能性をはらんだ室町後期の社会的活力を、血の海におぼれさせて出現したのが反動的、専制的な織豊政権ひいては徳川国家であり、日本の近代への胎動は徳川体制の下で窒息させられたという説はなぜ人口に膾炙したのか?戦後史学、とりわけ網野史観が流布させた戦後左翼の自由礼賛・反権力思考による錯誤を批判し西欧近代を民衆意識の最も根源から乗り越える。

目次

序章 日本のアーリイ・モダン
第1章 乱世とは何か
第2章 乱妨狼籍の実相
第3章 武装し自立する惣村
第4章 山論・水論の界域
第5章 自力救済の世界
第6章 中世の自由とは何か
第7章 侍に成り上がる百姓
第8章 一向一揆の虚実
第9章 領民が領主を選ぶ
終章 日本近世は何を護ったか

著者等紹介

渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所特別研究員。主な著書に『北一輝』(朝日新聞社1985、毎日出版文化賞受賞・ちくま学芸文庫2007)、『逝きし世の面影』(葦書房1998和辻哲郎文化賞受賞・平凡社ライブラリー2005)、『黒船前夜』(洋泉社2010、大佛次郎賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chanvesa

6
網野理論への批判、そして中世がいかにアナーキーであったか、に最初は圧倒された。特に近世・近代批判の背景を左翼的と論破していく流れは、今まで習ったり読んだりしていたことを崩していった。中世から近世にかけては、権力の集中とその主体としての平和をもたらす絶対王政的領主があったという観点も納得させられる。終わりの方で、幕藩制国家が、ヴァナキュラーなフィールドを破壊しなかったことで「土地と労働の商品化を阻止」できたという議論は、藤田省三さんの『全体主義の時代経験』を思い起こさせた。2013/12/27

白義

5
逝きし世の面影前史とでも言える史論。戦国乱世時代、自力救済の原理を押し進め、小国家群とも言えるまでに惣村共同体が力を身に付ける様を描き、やがてそこから近世江戸文明の誕生に至る経緯を描いている。網野史学的なユートピア思想を批判し、より一層苛烈でアナーキーな中世像を提出していて面白い。江戸文明礼賛の書だが、思想的な部分に色濃く滲む共同体的アナキズムへの傾斜にロマンを感じる。理論と歴史部分のバランスがよく、歴史叙述としてとても素晴らしい文章だと感じた2012/10/31

HANA

5
戦国から江戸までの歴史の中で、人々の意識や社会の流れがどう変わっていったかを解き明かした一冊。イデオロギーに縛られた今までの史学をことごとく論破する様は読んでいて痛快である。特に惣村が弱肉強食の世界、また戦国時代の分捕りの中に人間が入っていた事等は中世が自由に満ち溢れていたという事等は今まで教えられた歴史観からは想像も付かなかった。イデオロギーは人の目を眩ますなあ。2011/07/22

さんとのれ

2
歴史を見る時には当然のことながら当時の状況、視点で理解しようと務める姿勢を保つべきであり、現代の情報や価値観をもって糾弾したり都合のいい部分だけ取り出して礼賛するのは不毛でしかない、なんてことを再確認した。単に既成の史観を覆して終わり、でなく、偏見の裏に隠れた事象に光を当て異なる視点と新たな可能性を提供する、こういう本は読んでいて楽しい。2013/12/28

マウンテンゴリラ

1
著者の渡辺京二氏が亡くなられてから、まもなく一年になるが、あらためて、主な活躍の時期が、昭和から平成であった文学者、評論家、ジャーナリストが、相次いで亡くなられてゆくことに寂しさを感じている。それは、もちろん必然的な時の流れとして、嘆いても仕方のない事であるが、彼らの生前の言論に、世代的な後輩にあたる我々がどれだけ真剣に耳を傾けて来たのか、ということへの反省が、単なる時の経過という以上の感慨をもたらすという事も言えるだろう。特に本書の著者、渡辺京二氏は、故石牟礼道子氏の盟友とも言える方で、→(2)2023/10/20

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