内容説明
アジア的風土への積年の執心と煩を恐れぬ綿密なフィールドワーク、行動の批評家の思索の核心をなす民俗学的・宗教的諸論考を選りすぐって集成。
目次
平地人を戦慄せしめよ―柳田國男の「野蛮の思考」
「国語」を超えてゆくもの―柳田國男の言語観
声の幻―言霊と折口信夫
木を伐るものの伝説―天降り・大樹・南方熊楠
象使いの弟子―南方熊楠の流浪・サーカス
鳥と王権―谷川健一の論に付して
異形なる天皇の系譜―網野善彦
周防祝島反原発闘争民俗誌―宮本民俗学の実践の場として
端午祭の花嫁たち―韓国・江原道・江陵
華麗島の聖母崇拝―台湾・北港・台南〔ほか〕
著者等紹介
川村湊[カワムラミナト]
1951年北海道網走市に生まれる。1974年法政大学法学部政治学科卒業。のち、中国美術品販売、教育誌編集、土木作業員、水産市場作業員、パチンコ店員、水産業界誌編集などに携わる。1980年「異様なるものをめぐって―徒然草論」で、群像新人文学賞(評論部門)優秀作受賞。1990年法政大学第一教養部助教授。のち、専修大、広島県立女子大(現広島県立大)、早稲田大、学習院大、弘前大、弘前学院大、広島大、藤女子短大(現藤女子大)、沖縄大、琉球大、漢陽大(韓)、高麗大(韓)、デリー大(インド)、ワシントン大(米)、北京日本学中心(中)、北京大(中)などで講師、客員教授を務める。2000年法政大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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林克也
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とても勉強になりました。像使いの弟子では、明治時代に外国で像使いをした日本人がいたということ。鳥と王権では、オオキミの権力と鳥とのかかわりについて。川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」の元ネタのようだ。異形なる天皇の系譜では、後醍醐天皇の被差別民との関係と密教志向、明治天皇幼少期の女装について。花祭・龍天・白山では、奥三河の花祭が白山信仰につながり、朝鮮半島につながること。華麗島の聖母崇拝では、英語のママ、フランス語のママン、中国語の媽媽、韓国語のオンマなど、母親を呼ぶ言葉にM音が入っていること。 2016/09/14
メーテル/草津仁秋斗
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川村湊の民俗学や信仰に関わる論考が読める本。韓国のムーダンについて特に詳しく書いてある。自分も韓国でフィールドワークしてみたくなった。2016/06/24